一悟術

私と家族の物語(11)~父を超える時~ 

私が10代の頃、母方の祖父の遺産相続で親族が揉めたことがありました。

正確に言うと、遺産を相続した時は揉めなかったのですが、
その後、祖母の介護問題などの諸事情とお金が絡み、
今まで仲の良かった親族がケンカをしては表面的に仲直りをするということが
長い間繰り返されました。

その間、母の愚痴や文句を私たち家族が聞かされ続けました。

今なら母のやり場のない気持ちを受け止めることもできるのですが、
高校生だった私や弟達には、「お金って汚い」「お金は人間関係を壊す」
「お金なんてなければいいのに」というネガティブな思いばかりが溜まっていきました。

あの出来事は家族全員にとって大きなトラウマとなりました。

そのため、遺産相続から20年以上経っても、家族で当時の話ができませんでしたし、
言い争った苦い思い出がよみがえり、今の実家を将来どうするかという話は
誰も触れようとしませんでした。

私もあの時の遺産相続が原因でお金が大嫌いでした。

しかし、ビジネスをしていく上でも、人生をさらに豊かに幸せに生きていく上でも、
お金のトラウマは解消する必要がありました。

そのため、この2~3年は、必死でお金と向き合ってきました。

その効果が出たのは去年の秋でした。
突然、今までガッチリとくっついていた「お金と幸せ」が切り離れたのです!

文字通り、お金があっても無くても幸せという感覚を掴むことができました。

その自由度と言ったら、体重が半分になったかと思うくらい軽く感じました
(実際の体重は変わりませんでしたが 笑)

そして、お金と幸せが切り離れた時、ふっと思いました。

「今なら、家族であの遺産相続のこと、実家の家や土地の将来のことを話せるかもしれない」

そこで意を決して、両親と2人の弟達に家族会議を提案しました。

すると意外にも、すんなり承諾してくれて、改めて家族で話し合うことになりました。

結果的に、それは大成功でした!

「俺は実家の遺産相続には関わらない!」と若い頃に言っていた末の弟が
積極的に話し合いをリードしてくれたのです。

末弟とは、お互いに忙しくて普段はあまり会話をしないのですが、
この時は、家族の想いを全てくみ取りながら、
みんなが協力できるようにまとめてくれました。

そして、これまで家の将来について多くを語らなかった父も、
どれだけ家族を想い、みんなが幸せになることを願っているかを話してくれました。

私が取り組んできたように、家族がそれぞれの人生で
過去のトラウマと向き合ってきたのだと思います。

お互いの絆を感じることができた和やかな話し合いになり、
家族がより良い形で再結成できたのを感じました。

「あの遺産相続から学べたからこそ、今の私たち家族がある」
全員がそう思えた時間だったと思います。

家族としてこの人生で出逢い、共に様々な経験をしてきました。
そして、この家族会議で、その一つのプロセスから卒業する時が来たのだと思いました。

親は親の役割を、子供は子供の役割を終えたのです。

子供が親を超えることで人類は成長してきました。
私にもその時が訪れたようでした。

父は私にとって、いつでも良きお手本であり、超えられない存在でした。

しかし先日、谷孝祐氏に「お父さんを超えてはいけないと思っていませんか?」と
聞かれた時、言葉にできない悲しさが込み上げてきました。

私は良妻賢母になる教育を受けていて、
男性を支える女性にならなければいけないと信じていました。
そのためには、決して男性を超えてはいけないと思っていました。

男性である父を超えるということは、
自分が人生で作り上げてきた価値観が総崩れになるということです。

こんなに悲しいことはありません。

1週間ほど、自宅で一人の時に、父を超える悲しさを感じて泣き続けました。

泣いて、泣いて、泣いて、やっと悲しいという感情がなくなってから、
父の凄いと思うところを書き出しました。

好きなことをしている
ワガママを貫いている
家族のことを心から想っている
・・・などなど

そして最後に、私の方が父よりも凄いと思えることを書き出しました。

好きなことをビジネスにしちゃった
ホテルを借り切ってイベントをするほど超ワガママ
インナーチャイルドを生まない家庭作りの専門家

・・・私、父より凄いかも・・・(笑)

そう思った途端に、父が超えられない存在から、
そこそこ人生を楽しんでいる普通のオジサンに思えるようになりました(笑)

もちろん、父の方が凄いと思うことは他にもありますが、
今、私がしていることでは父よりも優れていると腑に落ちたのです。

父を超えようと思えたきっかけがもう一つあります。

男性である父や夫を支えたいという気持ちは以前からありました。

そして、谷さんからこう言われてハッと気づきました。

「超えなければ支えられませんよ」

そりゃそうだ!(笑)

弱い人間は誰も支えられません。
精神的にも経済的にも超えられるだけ超えて、本当の意味での良妻賢母になろう!

父を超えたと思えた瞬間、私はやっと親孝行ができたのかもしれません。

そしてこれからは、家族だけでなく、必要としてくれる人たちを支えられるように、
もっともっとしなやかに強くなっていきたいと思います。

次回は最終回、自分への深い信頼のお話です。

(向みどり http://ameblo.jp/kokorotabi/ )

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