一悟術

6.トラウマ、観念、感情の滞りによる肉体への影響について 

対人支援をする時に意図せず相手と自分を混同しがちです。
相手のことを自分のことのように思い、相手の感情を共有することが
よいことだと思っていましたが、それは問題を解決させるのではなく、
自分の中の何かを満たそうとしているだけです。
実践するのは難しく感じますが、医師もヒーラーもカウンセラーも
客観的な視点から情報を伝え、相手の持っている本来の力を信じていくことが
本当のサポートだと思います。

研修医の時、小児科で白血病の男の子を担当していました。
検査や治療のたびに怖くて不安で悲しくて、泣いて嫌がって、
なかなか治療ができずにいました。

彼のお母さんはそんな様子を見て、自分も子供と同じことをしたら
子供が納得できるのではと、自分にも同じ治療をしてほしいと
頼みにこられたことがありました。
当然そんなことはできないのですが、子供の辛い気持ちを
共有することができれば子供の負担が減るように感じたのかもしれません。
実際は子供の辛さを共有したり、減らしたりしているのではなく、
お母さんの中に作られた別の辛さを感じていたいだけなのかもしれません。

私も彼にどんな病気で、それをよくしていこうとは説明はしても、
この子が感じている感情はどうすることもできません。
私も誰かが泣いている状況をみて自分の中に不安や悲しみを呼び起こしていました。

しかし、感情に飲み込まれている誰かをあるがままとし、
特別なことをせず自分も自然な状態でい続けることができたら、
湧き出した感情もいつしか落ち着き、感情に左右されない姿に戻ることができます。

私が担当だった男の子以外にも病室には同じ病気の子たちがいました。
私の担当の子がいくら泣いていても他の子たちは気にせず、
思い思いにゲームや漫画を楽しんで過ごしていました。
でも無視をしているわけではなく、自然に任せている印象でした。

誰かが辛いと感じている時、辛いものは辛いと、我慢することも、
無理に変えさせようともせず、状況を受け入れ、変わらずにいることで
周囲も自然で安心できるように無意識に行動していたのかもしれません。

そんな環境の中で彼も徐々に辛さが軽くなり、病室で遊んだり、
治療もすんなりと受けるようになっていきました。

研修が終わって1年後、偶然担当していた彼に会いました。
その時の無邪気な顔を見たら、何の根拠もありませんが、
この子はもうどんな困難があっても自分で乗り越えられるような感じがしました。

(レイチェル http://ameblo.jp/rachel-counseling/ )

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