6.小耳にはさんで欲しい健康の話「運動について」
このコラムの第1回目に、健康という言葉が西洋から日本に入ってきたのが江戸時代だという話をしました。
覚えていらっしゃいますか。
その頃の日本人は、現代の私たちがいう運動には無縁でした。
文明の利器もなく、毎日の生活自体が運動に相当する負荷であったからです。
今なら一日中座りっぱなしでも仕事ができ、お給料をいただき、生活していくことができますが、
当時は動かなければ生活が成り立たない時代で、わざわざ運動をする発想がありませんでした。
学校で体育が始まったのは、明治になって富国強兵の流れからだといわれています。
現代を生きる私たちは動かなくても済む生活に漬かりこんでいるので、
意識的に運動をしなければ運動不足ということになってしまいます。
その上、年齢がいくと老化の問題もあり、動かさない体の部位は固まり、ますます動かなくなります。
気づかない間に動けなくなっていきます。
どの年代の方も年齢が次の大台に乗ると、体の衰えを実感するだろうと思います。
20代から30代、30代から40代と節目を超えると、年をいったなぁと感じましたが、
40代から50代は現実を突き付けられて結構きついものでした。
頭は若い頃のイメージのままなのでしょうね、実際は動けないのに動けると思い込んでいました。
ある日、突然、鏡の中になかったところに白髪を見つけました。
顔のしわに気づきました。
何となく本が読みにくくなって老眼に気づきました。
そして、筋力が、体力が落ちていることに気づきました。
物をひもで梱包する時に、キュッと締めつけることができないのです。
ショックですよ。
そこへ、介護の仕事をしている友人から足腰が弱ると大変と聞かされ、運動を意識するようになりました。
人生100年時代といわれています。
できるだけ仕事をして、下の世話を人に頼ることなく、自分の足で歩き、美味しく食事をいただいて生きたいじゃないですか。
83歳の天皇陛下におかれてはランニングマシンで負荷をかけられ、
皇后陛下とご一緒にピラティスで筋力を鍛えられるそうですよ。
人間、切羽詰まらないとなかなか動きませんけれど、私もようやく何か始めなきゃという気持ちになりました。
といっても、何かスポーツを始めるというわけでもなく「歩くこと」を始めました。
いつもよりちょっとだけ歩く程度からのスタートです。
本当をいうと、歩きたくない人間です。
近くも自転車で済ませてしまう私がどう変化したか。
次回をお楽しみに。
(柴田ともみ https://asakochi.jp/ )