「どうしてわかってくれないの・・!」
親との電話を切ったあとは、いつも泣きたい気分になる。怒り悲しみ、理解してもらえない悔しさで胸がはりさけそう。
もう本当に縁を切ろう。
これまでだって何度もそう思ったのに、親からの電話はなぜか無視できない。自分が苦しいときには、やっぱり心のどっかで親を頼ってしまう・・
大手ポータルサイトでの電話相談には、親子関係にまつわるご相談が多くかかってきます。
上のような親に対する苦しい気持ち、よくわかります。以前の私もまったく同じでした。
「自分を認めて欲しい」そんな思いが強くあって、親だけでなく自分を否定してくる人に感情にまかせて怒りをぶちまけてしまった、なんてこともありました。
「承認欲求」はときに友人に向けられたり、職場の人に向けられたり、もちろんパートナーに対してはより顕著に現れたりするものですが、そもそもこの苦しい承認欲求はどこからやってきているのでしょう・・?
「自分に賛同してほしい」
「自分をわかってほしい」
「自分が正しいこと、自分のがんばりを認めてほしい、いや認めさせたい」
その形はさまざまですが、相手に求めれば求めるほどに得られない感じも強まって、苦しくなってしまうのが承認欲求です。
はたしてそこから自由になる方法って、あるのでしょうか・・?
実はこの苦しい無限ループのような承認欲求から自由になる方法は、あっけないほど?シンプルです。
ただ完全にゼロになるまでは、長い道のりとも言えるかもしれませんが・・
この記事では、「自尊の欲求」とも言われる承認欲求について、その根っこにあるものと、そこから自由になって穏やかに生きる方法について模索してみます。
人に認めて欲しくなる理由
そもそもあなたが誰かに自分を承認して欲しくなるのは、なぜでしょう?
いきなりこの記事タイトルの答えとなってしまいますが、外に承認を求めてしまうのは、自分で自分を認められていないからです。
自分で自分のことを認められないというのは、自分の存在自体に対する否定感なので、それはとても苦しいものです。
少し極端な言い方になりますが、自分が自分のままで生きていいと本当に思えていないために、生きること自体が苦しく、自分のなかに不足しているものを外から補給しようという強い心の反応が「承認欲求」の正体です。
求めても得られない理由
「私のことを認めてほしい」という承認欲求は、自分で自分を認められていなければいないほど強く現れます。
- ありのままの自分では価値がないからもっと上へとがんばり続ける
- 人より優れていることを証明したくなる
- 嫌われないよう無理に人に合わせてしまう
承認欲求による行動は人によってさまざまですが、こういった行動の共通のゴールは、人から承認されることで、自分が自分を承認できる(ような気がする)というものです。
そして努力に努力を重ねた結果、たとえ望んだものが得られて一時的に満足感を感じたとしても、それはあまり長続きするものではありません。
理由は、自分で自分を認められていない以上、外からどれだけの賞賛や承認をもらったとしても、本当には受け取らない(受け取れない)ということを無自覚にしてしまっているからです。
表面的な満足が一時的に得られても、心の深いところで「自分はそれを受け取るに値しない存在だ」という自己否定が存在している以上、外からの承認をどこかでスルーしてしまい、再び渇望感に苛まれる状態となり、もっと欲しい、もっと必要、と終わりのないループにはまってしまうのです。
あなたが本当に欲しいもの
自分を認めて欲しいという気持ちの裏にある、あなたが本当に求めてるものは、あなたがあなたのままで愛される存在である、つまり自分は生きている価値があると感じられること。
違う言い方をすると「自分が自分でよかった」「自分が好き」と自然と思える状態、
または誰に遠慮をすることもなく、自分は幸せに生きていいという許可とも言えるかもしれません。
自分がただ自分のままで存在していいと感じられたとき、承認欲求は消えてなくなります。
・私はまちがってなかった
・私は悪くなかった
・私はせいいっぱい頑張った
あなた自身が自分を認められたとしたら、誰かに承認してもらう必要はなくなります。
逆にいうと、どれだけ多くの人がそれをあなたに言ったとしても、あなた自身があなたの価値を認めなければ、永遠に欲しいものは得られないということです。
「愛して欲しいと思っているのに、愛を差し出されると素直に受け取れない、逃げたくなる」
もしあなたの中にそういう感覚があるとしたら、それは自分がそれを受け取るに値しない、価値がない存在だとしてしまっているからかもしれません。
自己承認につながる3つのこと
ほとんどの人には、自分でも気づきにくい根深い自己否定が存在しています。
バーストラウマやインナーチャイルドと呼ばれる生後まもない頃から成長過程において形成されるもっとも深い自己否定の多くは、本人の記憶にはないぐらい深い階層に眠っているため、専門のエネルギーヒーリングなどで解消することがもっとも効率的と言えます。
ここではあえてこういった特別な手法を使わない、自分で意識して行動レベルで取り組むことのできる方法について、いくつか紹介しておきます。
1.自分にOKを出して出して、出し続ける
どんな小さなことでも、自分ができていることを認めましょう。
- 見返りをもとめず人に優しい気持ちを向けられた
- 以前はできなかったことが努力してできるようになった
- 相手の幸せをそっと願えた
完璧でなくても、理想に達していなくても、まずは今の自分が自然とできていることを自分で認めてほめてあげましょう。
ひとつひとつが小さなこと、価値のないことのように思えても、一旦は書き出してみて、「うん、できてるね」と自分に声をかけてあげます。
自己否定がでてくるたびに(心の中だけでやってもよいので)少しずつ積み重ねてみましょう。
2.認めてもらうために自分を差し出さない
相手に認めてもらうために、本当はやりたくないのにやってしまっていることをやめてみましょう。
自分の気分より相手の気分を優先して無理に差し出してしまうと、疲弊した分を補おうと相手から返ってくるものを求めてしまいます。(優しさかもしれないし、お金やモノかもしれません)
自分が差し出したくないものを差し出さなかったら、相手から相手が与えたいと思ってないものを欲しいと思うこともなくなります。
3.相手に合わせない、自分でいる
どんなときでも、相手がどんな状態であっても、自分でいましょう。
相手の顔色を伺う代わりに、自分の本音がどうなのか?を感じて認めて、大事にするクセをつけましょう。
相手に合わせようとしている自分に気づいたら、一つずつやめてみます。
どうしてもやめられない場合は、相手に合わせないことで起こるどんなことを自分が恐れているのか?探ってみます。
自分の本音を犠牲にして相手に認められる行動を起こしたとしても、それで相手から得られたものは、偽りの自分に対して得られたものなので、結局はあなたがありのままの自分を認めることには繋がることはないのです。
まとめ
小さい頃から無条件に自分を認めてくれる大人に囲まれて育っていたとしたら、自然と自分を肯定して生きることができたかもしれません。
もしありのままの自分の価値を認めて、生きることの幸せを感じられている親に育てられていたら、あなたもありのままの自分を承認できていて、誰かに自分の価値を認めて欲しいと求めることもなかったかもしれません。
もちろん実際にはそんな理想的な生育環境はめったにないのが現実です。
何か問題があると「〇〇な(した)あなたが悪いのよ」と簡単にこどもに言ってしまう親、そこまでではなくても、親に充分に褒められたり認められたりした体験があまりないまま大人になったという方の方が、今の日本では圧倒的に多いでしょう。
それはきっと、親自身もまた小さい頃にありのままの自分を認めてもらえなかった心が傷つく経験をしていて、自分を認めることにどこか困難を感じながら生きているからなのだと思います。
冒頭に書いたように、私自身も以前は承認欲求がとても強く、大人になってからもすぐに誰かと自分を比べてしまい長いこと苦しんでいたように思います。
その根っこにはやはり「何をやっても親に自分を認めてもらえていない」「親にもっと気持ちを向けてほしい、自分のことを見て欲しい、がんばったねとほめて欲しい」という小さい頃からの満たされなかった思いの蓄積があったのだと思います。
幼少期から親の価値観をいつも押し付けられるような家庭環境の窮屈があり、大人になるにつれてわざと親の価値観にないような生き方を選んでしまったのか、そもそも親の価値観におさまらない奔放な気質で生まれたのかはわかりませんが、親元を離れてからも結婚してからも私が選択することに対して親からはいちいち否定されるようなことばかり言われるようで、それが本当に苦しいと感じていました。
離婚をきっかけに自分の親子関係を見つめるようになり、さまざまな内面の取り組みで自分で自分を認められるようになっていくにつれて、親が私のすることにいちいち口を出したり批判的なことを言ってくることは少なくなっていきました。
ふと気づくと、最近では私を認めるようなことばを自然と言ってくれることすらあります。
自分で自分を認められたら、誰かに承認を求める必要もなくなるし、相手のこともありのままで認められるようになっていきます。
それだけでなく、自分で自分を認めはじめたときにはじめて、自然と相手からも認められるようになっていくのです。
自分が存在していることの価値を感じて、自分で自分にOKを出す(承認していく)というのは、地道で気の長い作業になるかもしれません。
外から承認されることと、あなたが生きていることの価値は、本来まったく関係ありません。
この真実が腑に落ちて、シンプルに自分で自分にOKを出し続けていくことが、唯一苦しい承認欲求から自由になれる方法なのです。