母親の愚痴を聞くのがしんどい、ということはありませんか。
「母の愚痴を聞くのは嫌、もっとお互い楽しい話をしたい」
「でもお母さんは大変なんだから、これくらい黙って聞いてあげないといけない・・・」
そんなふうに、しんどくても我慢している、という人は多いように思います。
本当によくわかります!
私も物心ついたときから、ずっと母親の愚痴を聞き続けてきました。
そして大人になっても、実家からの着信に気が重くなり、時には無視していたこともあります。
でも罪悪感で結局かけ直してしまう…
そんな繰り返しでした。
実はこんな親子関係が、あなたが幸せに生きることを邪魔している要因の一つになっていることもあります。
それを「共依存」と呼びます。
<この記事ではこんなことがわかります>
✓ 親の愚痴を聞きたくないときの具体的な断り方
✓ 罪悪感を感じなくていい理由
✓ 母親との共依存関係から抜け出す5つのステップ
✓ 親の愚痴が子どもに与える影響
私の親子関係を例に挙げながら、共依存とは何か、共依存を手放すにはどうしたらよいか、をお話ししていきます。
大丈夫、状況は変えていくことができます。
一緒に見ていきましょう。
【まずはコレ!】親の愚痴を聞きたくないときの対処法5選
「理屈はわかるけど、今すぐどうにかしたい!」というあなたへ。
まずは今日から使える具体的な対処法をお伝えします。
1. 電話に出ない・時間を決める
具体的な方法:
- 着信があっても、心の準備ができたときにかけ直す
- 「今から30分だけ」と時間を決めて電話に出る
- 「今忙しいから、また後でかけ直すね」と伝える
私も実家からの着信を見て、「今は無理」と思ったら出ないようにしました。
罪悪感を覚えたこともありましたが、自分の心を守ることも大切です。
2. 物理的に距離を取る
具体的な方法:
- 愚痴が始まったら「ちょっとトイレ!」と席を外す
- 「洗濯物取り込まなきゃ」と別の用事を理由にする
- 対面なら「そろそろ帰る時間だわ」と時間を区切る
物理的に距離を取るだけで、愚痴の連鎖を断ち切ることができます。
3. 話題を変える
具体的な例文:
- 「ところでさ、〇〇って知ってる?」(全く別の話題へ)
- 「そういえば△△どうなった?」(前向きな話題へ誘導)
- 「あ、この間テレビで見たんだけどね…」(軽い話題へ切り替え)
母親が愚痴を言い始めたら、さりげなく話題を変えてみましょう。
全ての愚痴に付き合う必要はないんです。
4. 共感しつつ早めに切り上げる
具体的な例文:
- 「それは大変だったね。でもお母さんなら大丈夫だよ」(軽く共感して終わらせる)
- 「うんうん、そうなんだね」(深入りせずに相槌)
- 「そっか。お母さん自身はどうしたいの?」(問題を本人に戻す)
完全に拒絶するのではなく、軽く聞いたら早めに切り上げるのがポイントです。
5. はっきりと断る勇気を持つ
具体的な例文:
- 「ごめん、愚痴を聞くのは私もしんどいんだ」
- 「お父さんのことは、お母さんとお父さんで話し合ってほしい」
- 「その話を聞くと、私まで気持ちが重くなっちゃうの」
これが一番勇気のいる方法ですが、一番効果的でもあります。
後ほど詳しくお伝えしますね。
親の愚痴を聞いて育った私
母の愚痴の歴史

私の母親は、私が物心ついたときから、ずっと父親の愚痴を私に言い続けてきました。
「お父さんは悪者で、お母さんは被害者」
「でもお母さんは働いていないので、横暴で意地悪なお父さんに耐え続けないといけない」
「辛い、苦しい、お母さんどうすればいいの?」
毎回そんな内容の愚痴でした。
母を助けてあげたい一心で、色々アドバイスしたこともありましたが、「あなたには私のことなんてどうせわからない」と反発される。
そして結局は延々と母の気がすむまで愚痴は続きます。
実家のある東京から沖縄に引っ越してからも、母からかかってくる電話の内容はいつも愚痴。
そのうち、実家からの着信に気が重くなり始めました。
ときには、着信を無視していました。でも、母は大変でかわいそうなのに無視するなんて親不孝!と罪悪感を覚え、結局は電話をかけなおしていたのです。
母との関係性に疑問を抱いたきっかけ

そんな中、私は妊娠しました。
親からのネガティブの連鎖を止めたい想いで『インナーチャイルド』を扱うヒーリングを受け、子育てしながら穏やかに自分らしく生きる術を探る日々が続きました。
すると気づいたのです。
母からの愚痴を聞いた後は、気が重くなったりイライラしたりして、家族に当たり散らしている自分を。
しんどい想いをして母の愚痴を聞いている私は、そのしんどさを今度は家族にぶつけていたのです。
これっておかしくない?
- 母親を助けようと、つまり母親に幸せになってもらいたいと愚痴を聞いていたけど、愚痴を聞く私は幸せではない
- 私に当たられる家族も幸せではない
- 何十年と繰り返し、同じような愚痴を聞き続けていても、母は父との関係性を変えようとはせず、一向に幸せになりそうな気配がない
私が母の愚痴を聞くことって、結局、誰も幸せにしていないのではないんじゃない?
私は疑い始めました。
なぜ親の愚痴を聞くのがしんどいのか?ー共依存とはー
共依存とは何か

母娘関係について本やWebで調べたり、カウンセリングを受けたりしているうちに、「共依存」というキーワードが浮かび上がりました。
共依存とは、簡単に言うと:
他人との境界線がわからない人が、過剰に他人の領域に侵入してしまうこと。
侵入を受けた人は、本当は嫌なのに、その侵入を許してしまうこと。
そして、自分や他人の領域に侵入し合うことが当たり前になってしまうこと。
もともとは、アルコール依存症の人の家族の傾向性を指摘する言葉として生まれました。
Wikipediaでは以下のように定義されています:
共依存とは、自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存しており、その人間関係に囚われている関係への嗜癖状態を指す。すなわち「人を世話・介護することへの依存」「愛情という名の支配」である。
共依存者は、相手から依存されることに無意識のうちに自己の存在価値を見出し、そして相手をコントロールし自分の望む行動を取らせることで、自身の心の平安を保とうとします。
親子間の共依存の特徴

親から子どもへの以下のような態度の傾向性が、親子間の共依存をはぐくむ怖れがあります。
□ 子どもを自分とは価値観が違う一人の人間とは捉えられない
例:「お母さんはあなたのためを思ってやってるのよ」
(子どもがそれを本当に望んでいるかどうかは別問題)
□ 子どもを自分の問題に引き込もうとする
例:「お父さんってほんとにひどい人!あなたはお母さんの味方よね?」
□ 子どもをコントロールしようとする
例:「言うことをきかない子はもういりません」
□ 自分の問題を子どものせいにする
例:「あなたがいるからお母さんは離婚できないのよ」
当てはまるものはありましたか?
当てはまるものが多くても安心してください。
親と子の共依存関係は、ほとんどすべての親子に存在するのではないかとも言われています。
共依存を広義で捉えるとアメリカの全人口の96%が共依存である、という文献もあるほどです。
共依存傾向がある人の性質(セルフチェック)

親子間の共依存関係の元で育つと、ゆくゆくは以下の傾向がある大人に育っていきます。
□ 人の顔色を気にして、疲れやすい
□ Noと言えずに、いつも過剰に人の世話を焼きすぎてしまう
□ 人の問題につい首をつっこんでしまう
□ 自分が何をしたいのかよくわからない
□ 感情のコントロールが難しい もしくは、あまり感情が出てこない
□ 好かれるためには、相手の求める価値を提供しないといけない
□ 自分はダメな人間だとよく思う
□ 生きにくさを感じる
□ 幸せになることはひどく難しいことのような気がする
□ 人間関係に、お決まりの失敗パターンがある
いくつ当てはまりましたか?
私も、人の顔色を気にして疲れやすい、など、まさに上記の傾向性を全て持っていました。
母親の愚痴から見る共依存のメカニズム

私にとっての父は、母にとっての父とは違うのに、母は私に、母と同じように父を悪者にするように暗に強要しました。
本当は聞きたくないけど、母に愛されるためには我慢しないといけない。
そうやって自分の本音を抑えて相手に合わせることを学んでいきました。
でも不思議なもので、愚痴の聞き役であっても母に必要とされていることで、母から頼られている、母の役に立っている、という実感が持てたのも事実です。
誰かのために、と自分を犠牲にして何かをすることが、自分の存在価値になっていたんですね。
もし、共依存の影響を受けていなければ、
- 母の愚痴を我慢して聞く、のではなく、愚痴を聞かずにすむように色々な行動を重ねていった
- 「自分と母は違う」と愚痴をきっぱり拒絶し続けた
- 愚痴を聞いてもネガティブな影響を受けないですんだ
かもしれません。
私もまた、母の愚痴の聞き役である自分として、母に依存していたのです。
これが共依存の怖いところなんです。
親の愚痴が子どもに与える影響
親の愚痴を聞き続けることで、子どもにはどんな影響があるのでしょうか。
心理的な影響
1. 自分の感情を抑え込む癖がつく
愚痴を聞き続けることで、「自分の気持ちより相手を優先しなければ」という思い込みが形成されます。
2. 境界線があいまいになる
どこまでが自分の問題で、どこからが相手の問題か、わからなくなります。
3. 罪悪感を持ちやすくなる
「断ったら悪い」「自分のせいかも」と、本来感じなくていい罪悪感を抱えるようになります。
4. 人間関係でも同じパターンを繰り返す
友人関係や恋愛関係でも、同じような共依存的な関係性を作りやすくなります。
脳科学的な視点から
ストレスを受け続けると、脳の扁桃体(感情脳)が過剰に反応しやすくなり、前頭前野(理性脳)の働きが弱まります。
つまり、慢性的に親の愚痴を聞くストレスにさらされることで、感情のコントロールが難しくなるという影響があるのです。
これは決してあなたが弱いわけではなく、脳の自然な防衛反応なんですよ。
【具体的な方法】共依存から抜け出す5つのステップ

母親の愚痴を聞くのがしんどかったり、共依存関係を持つ人の傾向性を持っていて、そんな自分を変えたい、と感じている人へ。
親との距離感を変えていく具体的な5つのステップをお伝えします。
ステップ1: 自分の幸せを優先すると決める
まず最初に大切なのは、「自分と家族の幸せを優先する」と決めることです。
これは親を見捨てるということではありません。自分の心を守るということです。
「親のために我慢する」のではなく、「自分が幸せになることが、結果的に親のためにもなる」と考え方を変えてみましょう。
ステップ2: 物理的に距離を取る
私の場合は、まず母からの電話に出るのをやめました。
具体的には:
- 着信があってもすぐには出ない
- 心の準備ができたときにかけ直す
- 「今忙しいから、また後でね」と伝える
最初は罪悪感がありましたが、これが自分を守る第一歩でした。
ステップ3: はっきりと境界線を引く
次に、母に直接、「愚痴を聞くことは私の幸せではない。これからは愚痴を聞きたくない。」とはっきり伝えました。
伝え方の例:
「お母さん、話があるんだけど。私、お母さんの愚痴を聞くと、すごくしんどくなるんだ。お母さんのこと大切に思ってるからこそ、これからは愚痴じゃなくて、楽しい話をしたい。お父さんのことは、お母さんとお父さんで話し合ってほしい」
こう伝えるのは、とても勇気がいることです。
でも、これが親子関係を健全にする第一歩なんです。
ステップ4: 湧き上がる感情を感じて手放す
境界線を引いた後、色々な感情が湧いてきます。
- 母を見捨ててしまったような罪悪感
- それでも隙あらば愚痴を言おうとしてくる母への怒り
- なぜ理解してくれないのかという悲しみ
こういったネガティブな想いは、無視せずに感じて手放すように努めましょう。
感情を無視していると、母親との関係性がいつの間にか元に戻ってしまったりします。
また、表面的には関係が変わっても、共依存の傾向性は変わらない、ということが起きやすくなるからです。
感情の手放し方:
- 感情が湧いてきたら、それを否定せずに認める
- 「今、罪悪感を感じているな」と客観的に観察する
- 深呼吸をして、その感情を吐く息とともに手放すイメージを持つ
- 「私は自分を守っていい」と自分に許可を出す
ステップ5: 専門家のサポートを受ける
自分一人ではネガティブな想いを扱えない、どうやって扱っていいかわからない、という方は、親子関係を取り扱う専門家のサポートを受けてみてはいかがでしょうか。
母親との関係を変えることは、人生を根本から変えることにもつながる大きなことです。
大きなことだからこそ、自分で扱えきれない可能性が高いんです。
もともと扱える人なら、今までにもっと簡単に人生を変えられていたでしょう。
私は『インナーチャイルド』を扱うヒーリングのセッションで親子関係を扱っています。
興味がある方はこちらのページをご覧くださいね。
よくある質問(FAQ)
Q1. 愚痴を聞かないのは親不孝ではないですか?
A: いいえ、親不孝ではありません。
親の愚痴を聞くことで、あなたも苦しみ、あなたの家族も影響を受けます。
それは誰も幸せにしていません。
むしろ、あなたが幸せになることが、親にとっても良い影響を与えることが多いのです。
実際、私が母の愚痴を聞かなくなってから、母自身が何十年と変わらなかった父との関係性を、ゆっくりとですが自ら変えていくような動きが出始めました。
Q2. どうしても断れないときはどうすればいいですか?
A: 少しずつ、できることから始めましょう。
いきなり完全に断つ必要はありません。
- まずは電話の時間を短くする
- 愚痴が始まったら話題を変える
- 「ちょっとトイレ」と物理的に距離を取る
- 共感はするけど深入りしない
小さな一歩を積み重ねることが大切です。
Q3. 兄弟姉妹がいる場合、役割分担はどうすればいいですか?
A: 兄弟姉妹で話し合ってみましょう。
もし可能なら、兄弟姉妹で:
- 「お母さんの愚痴、みんなどう思ってる?」と率直に話す
- 誰か一人に負担が集中しないようにする
- お互いの限界を尊重し合う
ただし、あなた自身が無理をしてまで引き受ける必要はありません。
Q4. 罪悪感がどうしても消えません
A: 罪悪感を感じるのは自然なことです。自分を責めないでください。
長年の共依存関係の中で培われた罪悪感は、すぐには消えません。
でも、「罪悪感を感じているな」と気づくことが第一歩です。
- 罪悪感を感じる自分を否定しない
- 「私は自分を守っていい」と繰り返し自分に言い聞かせる
- 時間をかけて、少しずつ変わっていく
大丈夫です。焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう。
Q5. 共依存を手放すのにどのくらい時間がかかりますか?
A: 人によって異なりますが、一気に手放すことは困難です。
共依存は案外根深いもので、一気に手放そうとすると、揺り戻しで共依存を強化してしまうことにもなりかねません。
一歩一歩、着実に進んでいきましょう。
変わりたいと思った時点で、もう変化は始まっているんですよ。
まとめ

母親の愚痴を聞くのがしんどい。
世の中によくあるささいなことに聞こえるかもしれませんが、その裏にある共依存が人生に与える影響度はかなり大きいのです。
この記事でお伝えした5つのステップを、もう一度振り返ってみましょう:
- 自分の幸せを優先すると決める
- 物理的に距離を取る
- はっきりと境界線を引く
- 湧き上がる感情を感じて手放す
- 専門家のサポートを受ける
また親と子、どちらかが共依存に気づき手放そうとすることで、もう一方の人生も変化していく可能性があります。
私の母は、私が愚痴を聞かなくなった頃から、何十年と変わらなかった父との関係性を、ゆっくりとですが、自ら変えていくような動きが出始めました。
結局、母の愚痴の聞き役となって母の問題の一部を引き受けてしまうことで、母自身が問題を直視しないですんでいたのかもしれません。
私と母との関係は、依存から自立へ、親と子が依存しあう関係からお互い自らの足で立つ関係へ、移行しているように思います。
現実が変わってくるとますます、親と子は見えない部分でつながってるんだな、と面白く感じます。
共依存という観点で親子関係を見直してみませんか。
あなたの人生が大きく変わるきっかけになるかもしれませんよ。
<さらに詳しく知りたい方へ>
以下の記事には私と母との関係がもっと詳しく書いてありますので、興味がある方は読んでみてください。

