「思い出すと辛い」過去を手放す、自分でできる心の傷の癒し方

”心の傷は、時間がすべて癒してくれる”
昔からよく言われる言葉ですが、大きなショックを受けるような出来事でできてしまう心の傷が、時間とともに自然治癒する可能性は極めて低いということが、最近の心理学の研究では明らかになってきているようです。

心の傷は体にできる傷とは違って見た目にはわかりにくいため、思い切って誰かに話をしても、不用意な言葉をかけられてかえって傷を深くしてしまったり、思い出すことが辛いからと、心の奥深くにしまいこんでしまうことで、長期的には健康に害を及ぼす原因になったり、人生の問題をさらに複雑にしてしまうということも少なくありません。

傷のきっかけになった出来事を本当に乗り越え、幸せな未来に一歩踏み出すために、自分でできる心の傷の癒し方をここでは紹介していきます。

心の傷を癒せたとき、何が起きるのか

過去に受けた心の傷を癒すことができると、何が起きるのでしょう?

傷を癒すということは、辛かった出来事を完全に忘れ去ることでも、出来事が起こる前のあなたに戻ることでもありません。

感情を癒し、辛い過去を本当に乗り越えることができた時、あなたは人としての成長を一つ遂げたことになります。苦しい感情を癒し、その出来事が起きた本質的な意味を理解できたとき、出来事が起きる以前のあなたより、人間としての器は広がり、以前より大きな幸せを手にすることができる状態に変化しています。

たとえ出来事の中に自分をひどい目に合わせたと感じる相手がいたとしても、「許したくない、許さない」(これは他者ではなく、自分自身を、という場合もあります)と頑なでいることは、結局のところ自分自身を苦しめ続けることになります。

すぐには無理だとしても、相手も自分も許すベクトルに心を開くいていくことが、あなた自身が幸せに近づく唯一の道なのです

自分でできる心の傷を癒すプロセスを、具体的に見ていきましょう。

プロセス1:心の傷と向き合うと決める

プロセス1:心の傷と向き合うと決める

まずは、自分が傷ついていることを自分自身で認めます。自分や他者、起きた出来事を責めたり後悔したりする気持ちを脇に置いて、「自分は傷ついている」という事実のみにフォーカスして、認めます。「私は傷ついている」と心の中で言葉にしてみるのも良いかもしれません。

そして、この傷に向き合って癒す、ということを決めてください。心の傷を癒す方法について、この記事では自分でできる範囲のことを紹介しますが、自分一人では難しい場合、専門家の助けなどを得ることもできます。具体的な方法についてはこの段階では考える必要はありません。シンプルに「この傷に向き合って癒す」ということを自分に宣言しましょう。

心の傷はどれだけ上手に「覆い隠した」としても、それによって本当に消えてなくなることはありません。外からの刺激によって何かの拍子に顔を出し、人生の様々な場面で(たとえあなたがそうと気がつかなくても)影響を及ぼします。傷を隠そうとしたり、ないことにしようとすればするほどに、傷があなたの人生に及ぼす力は大きくなっていくものです。

まずは心の傷の存在を、あなた自身が受け入れましょう。

プロセス2:感情をありのまま感じる

プロセス2:感情をありのまま感じる

辛かった出来事を想起して、出てくる感情をありのままに感じます。「泣きたいだけ泣く」という言葉の通り、涙が出てきたら、出るままにします。怒りがでたら、その怒りを自分の中でとことん感じるようにします。ここは辛いプロセスですが、とても重要です。いくつかの大事なポイントを挙げておきます。

この記事の目次

どんなネガティブな感情も受け入れる

出てくる感情を全て出すことが重要です。恨みや強い怒りなど、どんなネガティブと思える感情も、そのまま認めて感じるようにします。

思考をなるべく使わないで「感じる」ことにフォーカスする

こんなことを考える自分はひどい、などのジャッジメント(評価)や、出来事に対する無理な意味づけ、あの人または自分はこうすべきだったなどの「べき思考」が出てきても、それはひとまず脇に置いて、「悲しみ」や「怒り」「不安」などの感情を素直に感じることにフォーカスし続けてください。思考が動き始めると、多くの場合感情を感じることから遠のいていきやすくなります。ここでは、頭による意味づけよりも「体(心)で感情を感じる」ことがとても重要です。

一度で全部やる必要はない

出てくる感情が大きすぎる場合は、一度に全てをやろうとせず、時間をおいて何回かに分けてやることを心がけてください。

場合によっては、感情が大きく何度やっても全く変化がないように思えるようなこともあるかもしれませんが、出てくる感情を感じ続けることで、扱うべき感情の量は着実に減っていきます。繰り返し感じていることで少しずつ傷が癒える方向に向かっていることを信じて、根気よく続けるようにして下さい。

私の経験では、大きな傷の場合は癒しの作業にたくさんの年月がかかることもあります。何年か越しの作業になったとしても、癒しのプロセスが必要な時間をかけて進んでいることを信じて、でてくる感情を抑圧せず、その都度感じることが大切です。

感情を感じられない場合の対処方法

感情を感じられない場合の対処方法

もし出来事を思い出しても全く感情が出てこない場合、無理をせず少し時間をおいてからまたトライしてみて下さい。あまりにも辛い感情の場合や、長い間感情を抑圧したり、普段から感じることを閉じているような場合は、感情にすぐにアクセスするのが難しくなってしまうこともあるものです。

大事なことはプロセス1の「傷に向き合って癒す」ことを心に決めることです。それによって、タイミングが訪れたときに感情が氷解して顔を出す、ということを信頼して待ちましょう。

それでも感情を感じることが難しい場合、呼び水として使える以下のような方法もあります(いずれも自分でやってみることができる方法です)。詳しいやり方についてはここでは割愛しますので、もし気になるものがあれば検索してみて下さい。

    • EFT(経穴タッピングによる感情解放)
    • EMDR(眼球運動による脱感作)

感情を凍らせて感じないようにして過ごすことは、心の防御反応です。一時的にその状態が必要だったり、日常をやり過ごすためには有効ということもありますが、長期的には健康に害を及ぼす原因となったり、あなたの気がつかないところで人生に強い制限をかけていたりと、結局は感情を抑圧して生きることに変わりありません。少しずつでも自分の感情を感じてみようとすることを、日常の中で意識し続けましょう。

プロセス3:出来事の捉え方を変える

プロセス3:出来事の捉え方を変える

心の傷を癒すために必要なプロセスの中で、感情を感じ切ることと同時にもう一つ重要になるのが、起きた出来事の捉え方を変えることです。

これは私自身の体験ですが、幼い長女を連れて離婚をすべきか悩み、答えを求めて色々な場所に相談をするため足を運んでいた頃のこと。ある女性カウンセラー(米国人)に自分の苦しい状況を話し、夫と離婚をすべきか尋ねたところ、「離婚をするにせよ、あなたがこの状況から学ぶレッスンはなんですか?」と逆に質問されました。

当時の私の主観では、私は「被害者」だったため、この質問に正直驚きました。そして当時の夫と離婚すべきかどうか、という一定方向の思考から出て、「この苦しい出来事から私が学べることがあるとしたら、なんだろう?」という視点を持つことができるようになったのです。

苦しみを負わされた無力な被害者、という立ち位置から一度出て「人生のレッスンとしてこの状況が準備されたとしたら、ここから学ぶべきことは?」というちょっと引いた視点から見ることができるようなった時、思いがけない「気づき」を得て、自然と大きな癒しに導かれることがあります。

上手に癒しのプロセスを進めるために
心の傷に向き合う時の過ごし方

上手に癒しのプロセスを進めるために 心の傷に向き合う時の過ごし方

痛みに向き合う時間をとる

心の傷に向き合う時間をとりましょう。日常の中で過去の感情がふと出てきた時がチャンスです。その感情を心のより深いところに押し込めようとしたり、他のことで気を紛らわそうとする代わりに、少しだけ勇気を出して感情に向き合ってみましょう。少しずつでも向き合って感じることができれば、癒しのプロセスは確実に進みます。過去の感情が顔を出したら、よし、今日は思い切り泣こう、と腹をくくって泣ける時間を作りましょう。

一人になれる場所を確保する

家族がそばにいたら、思いっきり泣いたり怒ったりするのも難しいものです。誰にも気兼ねすることなく感情に向き合える場所を確保できることが理想です。思い切って一人旅に出る、それが難しければ、車の中や自然の中など自分の感情に向き合ってあげられる、一人になれる場所を考えてみましょう。

水をたくさん飲む

古い感情を流すのに、水をたくさん飲むことが大きなサポートになります。心の傷に向き合う間は、いつもより多めに頻繁に水を飲むことを心がけましょう。

睡眠を十分にとる

質の良い睡眠は、それだけでも感情を癒し気持ちを前向きにする力があります。感情に向き合った日は、早めに眠りにつくよう心がけましょう。もし色々と考えてしまって眠れない、というようなときは眠る前に軽い瞑想を取り入れるのも有効です。リラックスした状態で椅子に腰掛け、目を閉じたまま腹式呼吸を続けるだけでも、頭の中のグルグルする思考が落ち着き、眠りに入りやすい状態に近づくことができます。

まとめ

まとめ

辛い過去の傷をちゃんと癒して前に進むことは、あなたがまだ経験したことのない大きな幸せに近づいていく大切なプロセスです。

自分一人では向き合い続けることが難しい場合は、信頼できる誰かに話を聞いてもらったり、同じような経験をした人に出会い共感したり共感されたりすることで自然と痛みが和らぎ、気持ちが前向きになることもあるかもしれません。

近しい人からの理解を得ることが難しい場合、または安易な言葉がけでさらに傷を深くしてしまうことを避けるためにも、カウンセラーなどトレーニングを受けた専門家のサポートを受けることを選択肢に入れましょう。

また、多くの場合は覚えている出来事からくる心の傷は氷山の一角です。通常のカウンセリングでは扱うことの難しい、水面下の思い出すことが難しい部分の深いトラウマを癒すエネルギーヒーリングも世の中には存在します。

もちろんヒーリングによって全ての心の傷が魔法のように消滅するわけではありません。最後は、ヒーリングによって出てくる感情に、自分で向き合い癒すことによって本当の意味で「プロセスを完了する」ことができ、人生のコマを大きく前に進めることができるのです。

感情を癒し、辛い体験も人生で経験すること全てが必要な学びをもたらしてくれる贈り物、という捉え方ができたとき初めて、私たちは本質的に成長する方向へ歩みを進めることができるのかもしれません。

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この記事を書いた人

石垣島在住。
感受性が強く生きづらさを感じるエンパス/HSP専門カウンセラー。
電話でのインナーチャイルドヒーリング&カウンセリングのほか、エンパスさんのQOL(人生の幸福度)向上をサポートするさまざまな活動をしています。

\エンパスさんのためのお役立ち情報発信中/
note:https://note.com/muera_note
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