【思春期の親子関係】反抗したってお母さんに悩みを相談するんです。その時、お母さんのNGは?

NHK「中学生・高校生の生活と意識調査(2012年)」によると12歳~18歳の男女が悩みや心配事を相談する相手の第一位は「友だち」(中学生41.8%、高校生59.6%)、第二位が「お母さん」(中学生38.4%、高校生25.0%)と全体の8割を占める結果でした。

第三位以下は、きょうだい、お父さん、学校の先生、先輩、それ以外の人、相談する人はいないで数%ずつ。
この数字からお母さんの相談相手としての役割、子どもへの影響力が大きいことがわかります。
それでは、思春期の子どもの良き相談相手となるためにお母さんがやってはいけないこと、逆にこうあったらいいのはどういうことかを考えてみましょう。

この記事の目次

思春期の特徴

思春期は、大人への過渡期で、反抗期も重なり心も体も大きく変化するデリケートな時期です。
このコラムを読んでくださるお母さんも思春期を通ってきたはず。
当時のことを忘れて、大人の立場、親の立場から一方的に子どもに意見してしまっていませんか。
あの頃はどんな風でしたか。
理由のないイライラ、モヤモヤはありませんでしたか。
様々な葛藤を抱えている思春期の特徴を整理したので、ご覧になりながらご自身の思春期の出来事を思い出してみてください。
そういえば自分もこうだったな…と思えたなら、子どもへの理解が一層深まることでしょう。

子どもへの理解が一層深まる

特徴①体が大きく変化する時期

男の子は男性に、女の子は女性の体に成長する時期で、性差がはっきりしてきます。
第二次性徴期といわれます。
異性に対する関心も高まり、性の問題が避けて通れない時期です。
この頃は体の成長に心がついていかず、感情も不安定で悶々としがちです。

特徴②アイデンティティを確立していく時期

自分を客観視できるようになり、自分と他人を区別して、自分とは一体何者かを探求する時期です。
自分だけでなく、親や教師などの他者も客観視できるようになります。
子どもの頃は、親や教師は万能な偉い人、また、自分は何にでもなれると思っていたのが、親や教師が等身大に見え、自分の現実的な能力に気づきます。
そして、周りから自分がどう見られているのか、どう見えているのかがとても気になり、周りからの期待とそれに応えられない自分に不安や怖れを覚え、期待と挫折の間で揺れ動きます。

特徴③依存と自立の間をさまよう時期

思春期は大人への過渡期で、子どものような依存(甘え)と大人としての自立(反抗)を持ち合わせています。
甘えてきたと思ったら、急に反抗したり、暴言を吐いたり、偉そうに言ったり。
親としてはそのような子どもの態度はとても扱いにくく、イラっとしてしまうことも多いでしょう。
ですが、親に甘えられるという土台があってこそ、子どもは反抗もでき、自立へと進んでいけるのです。

思春期の悩み

思春期の悩みや不安についてはいろいろな調査がありますが、概ね次のような悩みや不安を抱えています。
スケールは違えども、思春期の子どもも大人と同じように「勉強(仕事)、人間関係、お金、健康」で悩んでいるようです。

学校や塾の成績、受験、進路、将来のこと

〇学校や塾の成績、受験、進路、将来のこと
成績が上がらない。
志望校をどこにしていいかわからない。
受験に失敗したらどうしよう。
どんな職業が向いているのか。
その職業に就くためにはどうしたらいいのか。
どうやって勉強したらいいかわからない。 など

〇先生、友だち、先輩、後輩、異性、家族との関係
学校が面白くない。
学校に行きたくない。
先生がきらい。
いじめられている。
いじめられている同級生がいる。
好きな子に告白できない。
好きな子のことを考えたら何も手につかない。
性的なことばかり考えてしまう。
先輩が怖い。
生意気な後輩がいる。
親がうざい。
両親が不仲で家に居たくない。
友だちがうらやましい。 など

〇家の経済状況
進学できないかもしれない。
志望校はお金がかかるから行けない。
奨学金はもらえるだろうか。
アルバイトして家計を助けたい。 など

〇自分の外見、容姿、健康や病気
外見が気になって勉強に集中できない。
容姿のせいでいつも損をしている。
綺麗になりたい。
太っている。
痩せすぎている。
朝どうしても起きられない。
何故かわからないがモヤモヤする、イライラする。
過食する。
拒食する。
鬱みたいになる。 など

〇その他
万引きなど犯罪をしてしまった。
事件、事故に巻き込まれた。 など

NGとその解決は

思春期の子どもの相談相手は友人とお母さんとで8割を占める結果が出ていました。
でも、同じ内容を相談するにしても友人に話す時と、お母さんに話す時は態度が違います。
学校の成績に悩んでいるとすると、友人とは同じ境遇の仲間という感じで、お母さんとはどこか甘えが出る上下のような感じでしょうか。
先に述べたように、親に甘えられるという土台があってこそ、子どもは反抗もでき、自立へと進んでいきます。
子どもが不貞腐れて反抗的な態度で話をしても、本当のところはお母さんを信頼しているということですね。

次に、悩みを聞いてもらいたい子どもにお母さんがやってしまいがちなNGと、そうならないためにはどうしたらよいかを考えてみましょう。

①話を聞かないというNG

話を聞かないというNG

何かをしながら、何かに気を取られながら聞いている。
忙しいからといって聞くのを後回しにする。
目を合わせない、腕組みをするなど話を聞く態度でない。
話を早く切り上げようとする。 など

ご自分が話を聞いてもらいたい時に、このような態度を取られたらどのように感じますか。
話す意欲を失い、あきらめてしまうのではないでしょうか。

〇話を聞く時は体を子どもに向け、聞く態度を取る。
⇒体を子どもの方に向け、目を合わせるだけで聞こうとする意思表示になります。
病院の診察室で医師がこちらを見ずに話したら、「この先生、ちゃんと私のことを診てくれたかな」って心配になるでしょう?それと同じですね。
でも、聞こうとしてずっと目を合わせ続けると睨まれているように感じたり、圧迫感を与えるので、時折視線を外しても大丈夫です。
そして、焦らず、ゆったりと聞きましょう。

〇子どもが何を伝えようとしているのか知ろうとする。
⇒子どもと自分とは感じ方も考え方も異なるので、まず子どものことを知ろうとする意識が大切です。
「ああなの、こうなの」と先回りしたり、追及するのではなく、シンプルに、客観的に子どもを知ろうとすると、子どもは自分の話をお母さんは聞いてくれているという安心感が生まれ、話をしやすい状況になります。

〇チャンスを逃さない。
⇒思春期の子どもの心理状態は不安定です。
今楽しそうにしていたと思ったら次は落ち込んでいるということがあります。
悩みを話し始めた時が最大のチャンスで、逃すと次に話をしてくれるかどうかわかりません。
ですから、忙しくても子どもに向き合ってあげられとよいですね。
ただ、子どもの様子から緊急性がなく、お母さんに話を聞く余裕がない時は、事情を話して改めて時間を取ることもよいと思います。

②否定や押し付けをするというNG

否定や押し付けをするというNG

子どもの言い分を端から否定する。
頭ごなしに叱る。
親の答え(親としての正解)を押し付ける。
常識や規則で縛る。
子どもの人間関係(友人など)を否定する。 など

誰だって自分を否定されたら、悲しいし、つらいし、腹が立つと思いませんか。
こうなると、子どもは言っても無駄だとお母さんに何も話さなくなります。

〇話し終わるまで聞く。
⇒まずは、子どもが話し終わるまでしっかり聞くことが大切です。
会話のキャッチボールを一球一球丁寧にしましょう。
子どもを知ろうとする意識で話を聞くと、自然と子どもの話に疑問や質問が出てくると思います。

〇自分の考えから一旦離れる。
⇒お母さんの人生経験や知識からすると、子どもの考えは頼りない面もありますが、ご自分の考えを一旦脇に置いて、こういう考えもあるかもしれないという立ち位置で聞いてみましょう。
親の考えが正しいという思い込みから離れることで、子どもの考えを受け止める余地が生まれます。

〇一人の人間として接する。
⇒自分の子どもではあるけれど、自分とは全く異なる一人の人間として認めることが大切です。
もし、ご自分の友人に悩みを相談されたら、考えを押し付けたり、命令したりはしないでしょう。
わが子だからついやってしまうのです。
それなので、自分の子どもも友人のような、親しいけど少し離れた存在として話を聞いてみるのがいいですね。

③感情的になるというNG

感情的になるというNG

子どもが感情的になった時に感情で応酬する。
イライラしてまくしたてる。
急に怒り出す。
激高して泣く。
手が出る。 など

お互いに感情的になると、気持ちがもつれたまま物別れしてしまいます。
思春期の子どもは親に対して批判的(反抗)であったと思えば、次の瞬間には依存的(甘え)であったりします。
甘えと反抗の間を行ったり来たりして、感情的になるのはよくあることと理解して、お母さんは冷静になれるといいですね。

〇一呼吸おく
⇒お母さんも感情的になりそうなら、一呼吸おいてから話しましょう。
ゆっくり深く息をするのも有効です。
間をおくことで感情に飲み込まれることが少なくなります。
感情的になってしまったら、声のトーンを子どもよりも一段低くしゆっくり話をすると、ヒートアップが止まることがあります。

〇感情カウンセリングトレーニングコースを受ける
⇒自分でどんなに努力しても感情に翻弄されてしまう方は、一般社団法人感情カウンセラー協会認定感情カウンセラーが提供する感情カウンセリングトレーニングコースがお勧めです。
感情を客観的に扱う方法を学べるコースで、感情の安定化を目指せます。

まとめ

まとめ

思春期の子どもは悩みを友人やお母さんに打ち明けるのが全体の8割を占め、お母さんの役割はとても大きいです。
大人への階段を上がっている子どもは心身共にデリケートで扱いにく面が多々ありますが、お母さんの対処によって子どもが悩みを話しやすい環境を作ることができます。
お母さんのNGとして、①話を聞かないというNG、②否定や押し付けをするというNG、③感情的になるというNGを挙げました。
この3つはご自身の思春期を振り返っても、親からされて嫌なことだったのではないでしょうか。
その苦い経験を忘れず、わが子にとっての良き相談相手になるためにお役立てください。

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この記事を書いた人

心の傷専門家
感情カウンセリング
薬剤師

大学卒業後、製薬会社の学術部で社員教育と医療関係者への情報提供に携わり、その後、整形外科病院で薬剤師として勤務、退職。
現在は心の傷専門家として、ヒーリングやカウンセリングを提供しています。

昭和39年生まれ、一男二女の母。
第一子のアトピーをきっかけに桶谷式母乳育児、栄養学、食育を学ぶ。
第三子の妊娠・出産・育児期は夫婦関係や健康にトラブルが続き心身共につらい日々が続いたので、心と体の回復を目指して漢方と心理学を学んだ。

その学びを深めていく中で、バーストラウマやインナーチャイルド、過去生など心の傷に向き合うことで状況を克服。
今では笑顔を取り戻し、日々軽やかに過ごしている。

セッションでは、生きづらさを感じている方の心が軽くなり、日常の幸せに気づき、自分らしさを取り戻していただけるように心掛けている。

アラフィフ女子が幸せに生きる方法 https://amenosoyokaze.com/

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