「大切な人との関係を、なぜか自分から壊してしまう…」
「どうせいつか終わるなら、先に私から終わらせてしまいたいと思う」
「心とは裏腹に、相手を突き放してしまうことがある」
「幸せなときでも、なぜか急に関係を断ち切ってしまいたくなる…」
もしあなたが今そんなふうに感じているとしたら、「見捨てられ不安」という言葉をどこかで耳にしたことがあるかもしれません。
「見捨てられ不安」とは、文字通り「大切な人に、いつか見捨てられてしまうのではないか」「一人ぼっちになるのではないか」という、心の奥底に抱える根深い怖れのこと。
この不安が、人間関係で「大好きなのに自分から離れる」という、一見すると理解しがたい行動を選ばせてしまうことがあります。
私自身もかつて、この「見捨てられ不安」に突き動かされ、大切な人との関係を自ら手放してしまった苦しい経験があります。
当時はなぜそんな行動をとるのか、自分でも分かりませんでした。
でも今なら、過去の自分の心の中で起きていたことが、少しだけ分かる気がします。
この記事では、
- なぜ、大切にしたい人から「自分から離れる」という行動をとってしまうのか?
- その行動の裏にある「見捨てられ不安」の心理的な背景とは何か?
- そして、このつらい行動パターンを変え、あなたが「本当の安心」を見つけるためのヒント
について、なるべくわかりやすく紐解いていきます。
「自分だけがこんな苦しみを抱えているのではないか…?」そう感じているあなたに、少しでも安心と希望が届くことを願っています。
その行動、もしかして「見捨てられ不安」のサイン

あなたは今、大切な人との関係で、こんな「逆の行動」をとってしまっていませんか?
- 相手から愛されていると感じるほど、不安になる
- 意見がぶつかったり相手に理解されないと、「もういい」と関係を投げ出してしまいたくなる
- 相手が忙しかったり、連絡が少し遅いと、「もう2度と会えないのかもしれない」と極端に考えてしまう
これらは、あなたの心の中に「見捨てられ不安」という、気づかないけれど根深い感情が潜んでいるサインかもしれません。
「見捨てられ不安」は、心の奥にある「ひとりぼっちになる怖さ」
「見捨てられ不安」という言葉は、少し難しく感じるかもしれません。
シンプルに言うと、「大切な人が、いつか突然、私から離れていってしまうのではないか?」「いつか一人ぼっちになってしまうんじゃないか…」といった、漠然とした、けれど胸の奥を締め付けるような、深い「孤独への怖れ」のことです。
この不安は、いつも意識の表面にあるわけではありません。普段は明るく振る舞っていても、心の一番深いところで、いつも「いつか捨てられるんじゃないか」という緊張感を抱えているような状態です。
なぜ自分から関係を終わらせてしまうのか?
「見捨てられ不安」を抱えていると、皮肉なことに、本当に大切にしたい関係であるほど、自分から離れてしまいたくなるという真逆の思いに駆られます。 「なぜ私、こんなに極端なんだろう…」と、後で自己嫌悪に陥ることも少なくないかもしれません。
その行動の裏には、こんな心の叫び(深層心理)が隠れている可能性があります。
- 「どうせ傷つくなら、先に終わらせてしまいたい」という心の防御
相手に「もうあなたのことは必要ない」「一緒にはいられない」と言われて深く傷つくくらいなら、いっそのこと自分から関係を断ち切ってしまおう。そうすることで、傷つかないで済む、と心が錯覚してしまいます。
これは、あなたが弱いからということではなく、これ以上傷つかないように、心の防御機能が必死であなたを守ろうとしているサインとも言えます。 - 無意識の「試し行動」
「本当に私を大切にしてくれるなら、こんなことをしても離れないはず」と、無意識のうちに相手の愛情を試してしまうことがあります。
でも相手が自分の期待通りに反応しないと、「やっぱり私じゃダメなんだ…」とさらに不安になり、関係を終わらせるきっかけにしてしまう、という悲しいパターンに陥ることもあります。 - 「ほら、やっぱり…」という心の奥の「思考が現実化する」パターン
「私はいつか見捨てられるかもしれない」という心の奥の思い込みが、無意識の行動(例えば、連絡を返さない、冷たい態度をとるなど)を促し、それが結果的に相手を遠ざけて、「ほら、やっぱり私は見捨てられるんだ」という思いを現実にしてしまうメカニズムが働くこともあります。
これは、あなたが本当には望んだ結果ではないのに、心が勝手に引き寄せてしまっているとても切ない現象とも言えます。
これらの行動の奥にあるものが、どれほどつらい心の叫びであるか、私にはわかります。
「自分から離れる」という選択は、決してあなたの「弱さ」ではありません。それは、あなたの心が、これ以上傷つかないようにと、必死であなたを守ろうとしてきた、過去からの「お守り」のようなものだったのかもしれません。
あなたの心の奥に潜む「見捨てられ不安」度チェック

ここまで読んで「もしかして私の中にも’見捨てられ不安’があるのかも」と思われた方も、「いや私は多分大丈夫」と思われた方も、日常的に顔を出す「見捨てられ不安」のサインを、よかったらここで少しチェックしてみましょう。
チェック1:いつも、自分のことを一生懸命説明しすぎる
「本当はわかってほしい」という気持ちが強いのに、なかなか伝わらない気がする。 だから、つい長々と説明したり、自分の行動を正当化したり。 これは相手に自分を受け入れてもらえないことへの、根深い怖れがあるかもしれません。
チェック2:本当に大切な場面では、なぜか感情が固まってしまう
心が大きく動く時、例えば、感動したり、悲しかったり、怒りを感じる場面で、感情が「フリーズ」したように何も感じなくなってしまう。 小さい頃、感情を自由に表現することを許されなかった経験が、影響しているかもしれません。
チェック3:周りの人の顔色や気分が、やたらと気になる
人の感情に敏感で、常に周りの雰囲気を察知しようとしてしまう。 相手の機嫌が悪いと、自分の安全が脅かされる、そんな経験があるかもしれません。
チェック4:たいして動いてないのに、なぜかいつもクタクタ
体をそれほど使っていないのにいつも疲れているのは、心の奥で常に緊張していることのサインとも言えます。 対人関係でどこか身構えてしまったり、安心してリラックスできる場所がなかったり。 心と身体が常に「サバイバルモード」で頑張り続けているのかもしれません。
チェック5:悲しい時や辛い時に、なぜか笑ってごまかしちゃう
本当に苦しいのに、つい笑顔を作ったり、冗談を言ってしまったり。 自分の感情を素直に出すことを許されなかった、あるいは受け止めてもらえなかった過去があるのかもしれません。 笑うことで、自分や周りの空気感を守ろうとする、心の防御反応です。
チェック6:困っていても、誰にも頼れない、一人でなんとかしなきゃって思っちゃう
「人には頼れない」「自分で何とかするしかない」と強く信じている。 助けを求めても無視されたり、裏切られたりした経験から、「頼るより自分でなんとかする方が傷つかない」と学んでしまったのかもしれません。 これは、過去の体験から身についた、心にまとった「鎧(よろい)」のようなものです。
チェック7:どれだけ頑張っても、自分は「足りない」と感じてしまう
どれだけ成功しても、褒められても、「自分はまだ不十分」「もっと頑張らなくちゃ」と感じてしまう。 小さい頃に、ありのままの自分を愛されず、常に完璧を求められたり、結果だけで評価されたりした経験があるのかもしれません。 「今の自分ではダメだ」という自己否定感が、心の奥に根付いてしまっているということです。
これらのサインは、一つでも当てはまると「見捨てられ不安」があると断定するものではなく、専門的な診断に代わるものでもありません。
しかし、もし多くの項目に心当たりがあるなら、それはあなたの心が「見捨てられること」に対して強い緊張や不安を抱えている大切なサインかもしれません。
(ちなみに以前の私はすべて当てはまっていたように思います・・
)これらのサインは、実は幼少期の親子関係に強く影響を受けていることが考えられます。少し詳しく見ていきましょう。
「見捨てられ不安」の根っこは、実は「子どもの頃のあなた」にあった?

ここまで読んで、もしチェックリストに当てはまる項目があった方は、「じゃあ、この隠れた不安はどこから来てるの?」と、疑問に思われたかもしれませんね。
実は、「見捨てられ不安」の根っこは、あなたの子どもの頃の体験、特に親(養育者)との関係に深くつながっていることが少なくありません。
「見捨てられ不安」と「親との関係」のつながり
私たちは小さな頃、親との関係を通して「世界は安全な場所なのか?」「自分は愛される価値がある存在なのか?」ということを感じながら成長します。
例えば、こんな体験はありませんか?
- 親から、無条件に価値を認められたり「ありのままで大好きだよ」と受け入れてもらった記憶が少ない
- 親の機嫌や感情の動きに、自分の安心感が左右されていた気がする
- 助けを求めても、応えてもらえなかったり、逆に突き放されたりした経験がある
もちろん、親は親で、あなたを大切に思っていたはずです。
(私も3人の子どもを育てているので、親がなんであれ私を大切に思ってくれていたことは、今ならよく理解できます)
ですが、もし上記のような経験が積み重なると、小さな子どもの時のあなたは、「ありのままの自分では愛されないのかもしれない」「親が望むような自分でなければ見捨てられるかもしれない」と感じてしまうことがあるのです。
それは、小さかったあなたが、親の反応から自分を評価するようになり、生きるために「自分はこうでなければならない」と、本来の自分ではないものになろうと頑張っていたということかもしれません。
私自身の体験が教えてくれたこと
記事の冒頭で触れた私の経験について、少しお話しさせてください。
大恋愛の末に結婚したパートナーの浮気が発覚したとき、私の心は「また裏切られるかもしれない」という激しい恐怖に襲われました。その不安が引き金となり、「これ以上傷つくくらいなら、自分の手で終わらせてしまおう」と、私から離婚を切り出すという選択をしてしまったのです。
当時は、自分の行動が「見捨てられ不安」という心の傷に動かされているとは、夢にも思いませんでした。もしあの時、自分の心の仕組みに気づき、適切に向き合う方法を知っていたら、違う未来があったかもしれない…と今なら思います。
過去の私と同じように、今まさにあなたが大切な人との関係で「自分から離れよう」というつらい選択に迫られているとしたら、その根っこには小さな子どもの頃の「安全に生きたい(のに生きられない)」という大きな不安があったこと、そして今のあなたは自分でその傷を癒すことを選択できるということをぜひ知っておいてください。
まとめ

「見捨てられ不安」はあなたの弱さではなく、あなたがまだ自分の力では生きられなかった子ども時代に、「安全を感じて生きたい」という当たり前の本能から生まれた自然な心の反応です。
この強い不安から起こる心の動きや行動、例えば「傷つくくらいなら自分から離れたい」という心の叫びは、幼少期の親子関係で作られた傷を深く癒すことができたとき、少しずつ和らいでいきます。
そうなった時、自分も相手も信頼できる状態で、安心して大好きな人と穏やかで長く続く関係を心から楽しむことができるようになるでしょう。
その具体的な解決方法や子ども時代の心の傷については、私のnoteの記事に書いています。よろしければ、そちらも参考にしてください。
noteの方では、感受性の強いエンパスやHSPの方に向けた「自分を丸ごと認めて心が楽になる」情報を毎日お届けしています。プロフィール欄からリンクしてますので、よかったら遊びに来てくださいね。