子どもの夏休みもあと少しで終わり。
あんなに何度も「やりなさい!」と口を酸っぱくして言ってきたのに、なんでやろうとしないんだろう・・・
こんな宿題のテキストなんて、ちゃっちゃと終わらせられるはずなのに・・・
でも一番いやなのは、こんなイライラから抜け出せない自分!
そんなお母さんお父さんへ、イライラから自由になるための心の処方箋をお渡ししたいと思います。
なぜ子どもは宿題をやらないのか。
まず子どもが宿題をやらないのはなぜなのか、考えてみましょう。
ご自身が子どものときはどうだったでしょうか。
私は夏休みの宿題の提出日ぎりぎりになるまで、宿題をやらない子でした。
至極単純でした。
夏休みは目の前に面白いことができる自由な時間がたくさんあります。
どうしてわざわざ面白くないことをやらなくてはならないのでしょうか。
子ども時代の私はそう叫んでます。
そう、宿題をやることは面白くないんです。
これは多くの親世代の方々にも共通する想いだと思います。
では面白くないことをどうしてやらなければならないのか。
色々なことを勉強して学んで、将来やりたいことをやるための土台にするため、という説明が一般的でしょうか。
でも将来やりたいことをやるために、今やりたいことを我慢して、やりたくないことをやらなくてはならないのは、前頭葉が未発達で論理的思考が成熟していない子どもにとっては、非常に理解しにくい理論です。
もしかしたら、宿題をやりたくない子どもよりも、勉強や宿題が将来につながる面白いものと子どもに伝えきれない学校教育の方に、問題があるのかもしれません。
どうしたら宿題をやらせられるのか、ではなく・・・
今の学校教育が子どもに勉強や宿題を面白いものと伝えきれていない、と言っても、宿題は宿題、夏休み中に終わらせておくように、と担任の先生からもお達しがきています。
しかも、昔と違って今は、忙しい先生に代わって、親が子どもの宿題の丸つけをするのが主流になっています。
否が応でも、子どもの宿題の進行状況に関わらざるを得ません。
さぁ、ではどうやったら、やる気のない子どもに、宿題をやらせることができるのでしょうか。
そういった話題を期待されていた方はすみません。
これからは、どうやって宿題をやらせるかではなく、宿題をやらないこどもを目の前にして出てくるイライラから自由になるにはどうしたらよいか、をお話ししたいと思います。
というのも、イライラを感じたくないから、イライラする自分を見たくないから、子どもにさっさと宿題を終わらせてほしがっている、というとらえ方もできるからです。
その場合、夏休み中に計画的に宿題を終わらせるような子どもであっても、子どもの他の部分(片付けをしないとか、外で遊ばないとか)にイライラする可能性があります。
これからお伝えする心の処方箋は、子どもに対するイライラ全般に応用できるので、ぜひ活用していただけたらと思います。
イライラから自由になるための2つの心の処方箋
処方箋① 固定観念を見つけてフラットにする
固定観念とは、自分が信じきっている情報のことを指します。
固定観念は、こうあるべき、こうするべき、というような自分や人を律する枠組みになりやすく、柔軟な発想の妨げになります。
固定観念が多いと、子育てに困難を感じやすくなります。なぜなら小さい子どもほど、固定観念が少ないので、親にとって、「ありえない!」というような、親の感情を波立たせる行動やふるまいをしがちだからです。
イライラのきっかけとなるような固定観念なら、その固定観念は本当に必要なのか、疑ってみても良いかもしれません。
①-1 どうして、を書き出す
夏休みの宿題はどうしてやらなければならないのでしょうか。
「そんなの当たり前!」とせずに、自分なりの考えを書き出してみてください。
例えば、先生に怒られる、と出てきたら、どうして先生に怒られることは避けなければならないことなのか、書き出してみてください。
①-2 夏休みの宿題をやらねばならない理由を疑う
①-1で書き出した宿題をやらなければならない理由を、疑ってみてください。
それが理由なら、別にやらなくてもいいかもしれない、となんとなく思えるようになるまで、反対意見を出してみてください。
例えば、宿題をやらなければならない理由は
宿題をやったら本当になりたい職業につけるのか?
〇やれと言われたことをきちんとやれないと社会人になって困るから ⇒
こじつけっぽくなってもかまいません。固くなった頭を柔らかくするようなイメージで取り組んでみてください。
学歴に関係なく成功した方の話や、自由な教育で有名なサドベリースクールの教育概念などを参考にされてみるのもよいと思います。
①-3 もう一度問いかける
本当に夏休みの宿題はやらなければならないのか?と自分に問いかけてみて、そうでもないかも、と少しでも思えるようになったら固定観念が緩んできています。
「いや!そうは言ってもやらなきゃならない!」と強く反発するような自分が出てきたら、また①-1に戻り、理由を書き出してみてください。
処方箋② 深い感情に気づく
子どもに対するイライラは、自分の中の深い感情を感じたくないから出てくることもあります。
自分の中の深い感情に気づけば、イライラしなくなる可能性があります。
②-1 自分ごととしてみる
子どもが宿題をやらないことで、自分に悪いことが起きるとしたらどんなことがあるか、書き出してみてください。
子どもが落ちこぼれて登校拒否になって、ニートになって、私の足を引っ張るかもしれない。
②-2 出てくる感情を感じる
その悪いことが起きたことを想像したときに、出てくる感情を感じてください。
悲しみだったり、恐れだったり、怒りだったり、子どもに感じていたイライラとはまた質が違った感情が出てきたりしたら、それがより深い感情かもしれません。
②-3 幼いころの自分に意識を当てる
幼いころに②-2で出てきた感情と同じような感情を感じたことがなかったか、意識を当ててみてください。
むりやり探らなくても大丈夫です。
うまくいけば、母親にダメな子と言われたときと同じ感情のような気がする、など、インナーチャイルドに結びつくような経験が思い出されるかもしれません。
子どもの本質をみながら子育てをしよう
さて、2つの心の処方箋をやってみて、いかがでしたでしょうか。
固定観念や感じたくない感情があればあるほど、子どもに振り回されている感じが起きやすかったりします。
反対に固定観念や感じたくない感情が少なくなればなるほど、この子は本当はどういう存在なのかという、子どもの本質を見ることができるようになります。
そして色々試しながら、どういう言葉かけやどういう接し方が子どもの本質を輝かせるのかが、感覚でとらえられるようになるでしょう。
世間一般的な、幸せになるためにはこうすべき、ああすべき、は多少は参考になっても、すべての子どもたちに当てはまるものではありません。
親が自分自身で経験から培ってきた幸福論や成功論も同じです。
親と子どもとは、全く別の人間なのですから。
子どもの本質を尊重しながら子どもを育てていくと、子どもはいろんな経験から、ときには失敗からも学びながら、子ども自身のオリジナルな幸せに向かっていくことが可能になります。
そう、宿題をやらない、という選択により起こった結果からも、子どもは学ぶことができるのです。
まとめ
子どもの夏休みの宿題が終わらないでイライラする!
一見、ネガティブな出来事に思えるかもしれませんが、そこから気づきを得て、より自由な子育てへの、ひいては、より自由な自分自身の人生への、きっかけになるかもしれません。
もちろん、夏休みの宿題だけではありません。
そう考えたら、なんだか楽に楽しくなってきませんか。
そんな楽で楽しい子育てを、これからも提案していきたいと思います。