「もしこうなったらどうしよう」予期不安を克服する意外な対処法

「また嫌な思いをするのではないか」
「また傷つくのではないか」
「また失敗するのではないか」

まだ起きていないことを想像して、不安を感じたり落ち着かなくなることってありませんか?

感受性が高く、外の世界の刺激に対してひといちばい敏感なHSPやエンパスの方は、ささいなことで圧倒されたり心が傷つきやすいために、まだ起きていない未来の事象に対する’予期不安’も強い傾向にあります。

予期不安があることで、危険を事前に回避しやすいという見方もできますが、実際には不安なまま行動してしまうことで、恐れていた通りの現実を引き寄せてしまい、さらに心の傷を増やしてしまうという悪循環になったり、不安が強いために体が思うように動かず行動することを諦めてしまうということも起きてきます。

起きうる状況を察して不安が出てきた時点で、先取りで感情を感じておいたり、イメージの中でできそうな対応を準備しておくことができれば、現実的に自分にとって最悪の状況を回避することがしやすくなります。

この記事では、HSP やエンパスさんの’予期不安’の対処法についてまとめています。

この記事の目次

予期不安とは?

もともとは予期不安とは、パニック障害で発作を経験した方が「またあの発作が起きるのではないか」と強い不安を感じるようになることをいいます。

パニック発作にはこの予期不安が必ず伴い、発作を繰り返すごとにこの不安がさらに強くなっていき症状を悪化させていきます。予期不安にみられる症状には以下のようなものがあります。

(1)発作を起こすこと、それ自体への不安

(2)発作によって起こる、別のことへの恐怖 ・死ぬのでは ・何かの病気になるのでは ・気を失うのでは ・事故を起こすのでは(特に車の運転の不安) ・誰も助けてくれないのでは ・すぐに逃げ出せないのでは(発作が起きた場所から) ・取り乱してしまい、人前で恥をかくのでは ・倒れたり、吐いたり、失禁したりして、見ぐるしい姿をさらすのでは ・他人に迷惑をかけるのでは

引用元:UTU-NET パニック障害教室


HSP やエンパスの予期不安の特徴

HSP やエンパスさんにとっての’予期不安’は、あくまで個人的な印象ですが、上記のような起きる可能性が少ない妄想的なものというより、もう少し現実的な仮定に基づいています。

想定している事象が客観的に見ても「確かにそうかも」と思えるもので、割と正確な予想の上に乗っかる’不安’という印象です。

上記のパニック障害の予期不安のように、過去の経験に基づいて「また同じことが起きるのでは」と感じて不安になることもありますが、もう一つのパターンとしては、物理的に離れた場所にあるエネルギー(空気感)をキャッチして、そこにいくと自分が嫌な思いをすることを’予知’するようなケースもあります。

俗にいう「嫌な予感がする」というやつですね。

先日セッションを受けられたHSP の若い男性の方は、特に人の匂いについて敏感で、自分が嗅ぐと具合が悪くなる匂いがある人については、たとえ大きな交差点の向こう側にいたとしても、そうとわかるということでした。

(見た目で想像して決めつけてしまっているのではなく、実際に近くまでくると予想がほぼ的中しているそうで、避けられる状況であれば、一定以上の距離をあけてすれ違うように自分の歩くルートを前もって変えるとのことです)

HSP (HSC)の傾向が強い私の小学生の娘も、たとえ初めて行く場所や初めて会う人であっても、事前に「なんとなくいや」などと行くことを渋るときがあり、実際に私が足を運んでみると「なるほど、これは子どもを連れてこなくて正解だったな」ということが多かったりします。

また、エンパス体質である私自身の体験ですが、車を運転して1人で帰宅する途中に、急に強い不安と怒りが湧いてきたことがありました。

運転中で何かを見たとか聞いたなど外からの新しい刺激は何もなかったので、なぜ急に?と訝しく感じながら家に着くと、子どもたちが留守中に私との約束を破るような行動をしていたことがわかり、そこで初めて不安と怒りの原因が判明しました。

つまり、HSPやエンパスの方の予期不安は、必ずしも過去の経験から起きるものばかりではなく、時空を超えてキャッチしてしまう’何か’に起因して起きることもあるというのが特徴です。

今日からできる予期不安の対処法

過去の体験から頭の中で予想をして起こる不安にも、離れた場所にある何かをキャッチして起こる不安にも、どちらのケースにも使える対処法を今回はご紹介します。

ポイントは、「事前に察した時点で対応しておく」ということです。

最初はうまくいかないかもしれませんが、やっているうちに感覚がつかめてくると思うので、まずはトライしてみてください。

1.不安に感じていることを具体的に書き出す

ただ漠然と不安を抱いて落ち着かないでいるところから、具体的に何がどうなることを恐れているのかをノートに書き出してみます。

起きうる状況がいくつかあると考えられるのであれば、すべて書き出しましょう。

書き出す間も出てくる不安を一緒に感じ続けてください。

不安だけでなく、他の感情が出てくる場合もあるかもしれませんが、それも感じ続けます。

他の感情は、悲しみや怒り、恐怖心などです。

判断や意味づけをしないで出てくるものをそのまま感じながら、その感情についても書き出します。

  • 〇〇になることが不安
  • 〇〇について腹が立つ
  • 〇〇が悲しい
  • 〇〇のような状況になったらどうしよう
  • 〇〇になったら嫌だ、怖い

など、考えすぎず自由に出していきます。

2.対応策を客観的に考える

自分の心の中にあるものを書き出して、感情が少し落ち着いてきたら、書き出したものを少し客観的に眺めてみましょう。

不安を感じる状況が起きた時に、自分としてできそうな対応はないでしょうか?

先ほどの、人の匂いに敏感なHSP の方が向こうから歩いてくる人と距離をとってすれ違えるように自分のルートを変えるのと同じように、最悪の自体を回避するために取れる行動はどんなものかを、事前に考えておくのです。

たとえばたくさんの人のエネルギーが渦巻く場所が苦手なエンパスさんであれば、苦手な会合に参加するのに、しんどくなった時に途中で抜け出しやすい席を先に確保する、車で行くのであれば、車を出しやすい場所に駐車しておくなどの策を練れるかもしれません。

先日こんなことがありました。

子供の学校行事の準備を頼まれ、私があまり慣れていない内容の作業を、その作業に熟練した方に教えてもらいながら一緒に行うことになりました。

HSP やエンパスの特徴の一つとして、人に観察されたり評価されたり、急かされるような状況が苦手というものがあります。

作業の前日の夜、なんだか気が重いので自分の心の中を書き出してみると

「人と一緒にやることで、おろおろして作業がうまくいかなくなる事態になるのではないか、その様子を見てやり方を指摘されたりして、余計に失敗してしまったりするのではないか」

などの不安があることがわかりました。

そこでそんな状況の中で自分が落ち着いて作業ができる方法はないか考えてみると

「自分の境界線を保つことを意識しつつ、焦らずマイペースで作業に集中する。それがしやすいように作業の間は腹式呼吸を心がける。」

というアイデアが湧いたので、それも書いておきました。

その結果、当日は、不安を感じていたような事態になることもなく、自分としても落ち着いて和やかなムードの中で楽しく作業を終えることができたのです。

3.起きることのポジティブな側面を探す

上の体験の時には、対応策を考えるとともに、不安を感じている状況の中でブラインドになっている「ポジティブな側面」にも目を向けていました。

熟練した人と一緒に作業することは、敏感な人にとっては妙なプレッシャーを感じるものですが、しんどく感じるその状況の中にポジティブな側面があるとしたらなんだろう?と、あえて考えてみたのです。

すると

  • 熟練した人に教わって、自分のスキルが上がるチャンス
  • 人と一緒にいてもマイペースでいられることをトレーニングできる機会
  • 一緒に作業をすることで新しい人脈が作れる
  • 作業が効率的に進む

など、結構たくさんのポジティブな側面を捉えることができたのです。

当日楽しく作業ができたのは、事前に自分ができる対応を考えておいたからだけでなく、こういったポジティブな側面を認識していたことが、実は大きく影響していたのかもしれません。

この3つ目のステップは、最初は少し難しく感じるかもしれません。

不安が大きすぎると、起きることがネガティブにしか感じられないためです。

たとえうまく答えが出なかったとしても、「ポジティブな側面はないかな?」と考えてみるだけでも良いと思います。

そういう問いを自分に投げかけることを続けていると、そのうちゲーム感覚で事象のポジティブ面を見出せるようになっていきます。

最後に

今回ご紹介した対処法のポイントは、心にある不安を「書き出す」ことです。

書く(アウトプットする)という行為は、心にあるものを外に出すということで、それだけで感情を解放する効果もあるし、不安を抱えたまま思考が同じところをグルグルするところから、一歩出やすくなります。

感情を外から客観的に眺めることができるようになることで冷静な判断もでき、一つの視点に縛られずに他の視点からも事象を見ることができるのです。

その結果、実際の場面では自分の立ち位置を調整できたり、言動をコントロールしやすくもなります。

イメージの中で事前に対応をシミュレーションできているので、落ち着いて対応することもできます。

予期不安における対処に慣れてきて、感情を前もって感じきることができるようになると、実際に起こる(引き寄せる)現実も変わってきます。

そこまででなくても、不安を感じたり恐れが出る場面でもうまく対処できたという小さな成功を積み重ねることで、ネガティブな循環から出ることができ、望まない現実を自分で変えらえるという自信にもつながっていくのではないでしょうか。

 

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この記事を書いた人

石垣島在住。
感受性が強く生きづらさを感じるエンパス/HSP専門カウンセラー。
電話でのインナーチャイルドヒーリング&カウンセリングのほか、エンパスさんのQOL(人生の幸福度)向上をサポートするさまざまな活動をしています。

\エンパスさんのためのお役立ち情報発信中/
note:https://note.com/muera_note
HP:https://muera.jp

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