教育問題を完璧に解決していた世界一の教育大国日本

今、日本では、親子関係が多くの人にとって大きな悩みのタネになっています。

意外かもしれませんが、そう遠くない過去、日本は間違いなく世界トップをいく教育先進国でした。

その当時よりずっと豊かな現代の日本。ほとんどの親は、当時と変わらず子供の幸せを願っている。。

なのに今、どうしてそんなことになっているのでしょうか?

過去から学ぶ一歩として、教育問題をすべて解決していた昔の日本について調べてみました。

 

この記事の目次

1.子供の教育が悩みのタネとなった現代日本

今、子供の教育で悩んでいる親はとても多いですね。

昔から定番の子供が勉強しないのほか、TVゲーム・携帯ゲームが世に出てからはその使い方、最近ではスマホの利用を巡って。

子供がなかなか親の言うことを聞かないときに、つい口うるさくなって、しまいには口論になってしまったり、かっとなって手が出てしまったり。

 

近年大きな問題となっている虐待も、多くの場合、しつけをするつもりが思うようにならず、つい体罰に訴えてしまう。

そんな自分を責め、誰にも相談できず、悪循環にハマってエスカレートしてしまう。そんな話をよく聞きます。

さらに事件としてニュースになるような、どうみてもひどい親の場合も、親自身が子供の時に同じような目に遭っていたり、同情を禁じ得ないような環境に育っていたりするケースが多いように感じます。

 

学校でのいじめ問題も、親子関係の不和やイライラが弱い立場の子に向けられたものであり、同根と言えるでしょう。

学校は学校で、厳しい校則で子供を指導しようとしますが、中には理不尽なものもあり、かえって子供の悩みを深めている話も耳にします。

北欧などの教育先進国の話を聞くにつけ、日本の教育は旧時代のものという印象で、どうもうまくいっているようには思えません。

 

2. 教育先進国だった日本の実情

さて、現在の世界で教育先進国といえば、フィンランドやデンマークをはじめとする北欧諸国、オランダ、ニュージーランドなどが有名です。

それらの国に、比べてると日本の教育は発展途上国並みかもしれませんが、さらに過去に目を向けると驚くような実態がありました。

今からおよそ150年前、幕末〜明治の初めにかけて、日本の教育は当時日本を訪れた外国人が刮目せざるを得ないほどうまくいっていたのです。

(1) 訪日外国人の評価

多くの西洋人が日本についての著作を残しています。そのいくつかを引用してみます。

日本の子供の子供らしい可愛さを、外国人達は絶賛という言葉が少しも大げさでないくらい異口同音に褒め称えています。

「なんとかわいい子供。丸々と肥え、バラいろの肌、キラキラした眼」「明治日本体験記」グリフィス

「どの子もみんな健康そのもの、生命力、生きる喜びに輝いており、魅せられるほど愛らしく・・・」「江戸幕末滞在記」スエンソン

「世界で一等かわいい子供」「日本の追慕」モラエス

「ニコニコしているところから判断すると、子供たちは朝から晩まで幸福であるらしい。」「日本その日その日」モース

「僕の見たところ、日本の子どもは11、2歳になるまでは、世界でも最も幸福な子どもに違いない」「ロングフェロー日本滞在記」ロングフェロー

「私は日本人など嫌いなヨーロッパ人を沢山知っている。しかし日本の子供達に魅了されない西洋人はいない」「ドイツ人宣教師の見た明治社会」ムンツィンガー

 

欧州、米国から、世界を巡って極東の日本までやってきた彼らの目から見てそうなのですから、いかに日本の子供が魅力的であったかがわかります。

ただ、当時西洋人は子供をムチ打つなど体罰を与えるのが普通だったようで、日本の子育てを放任、甘やかしと見る人もいました。

しかし、子供達は決してただ甘やかされていたわけではありませんでした。子供のよいところを引き出す教育が見事に行われていました。

東京帝国大学に招かれて動物学の講座を創設したE・S・モースは、大森貝塚の発見者としても有名ですが、こんな言葉を残しています。

「日本人は確かに児童問題を解決している。日本の子供ほど行儀がよくて親切な子どもはいない。」

「いろいろな事柄の中で外国人の筆者達が一人残らず一致する事がある。それは日本が子供達の天国だということである
この国の子供達は親切に取扱われるばかりでなく、他のいずれの国の子供達よりも多くの自由を持ち、その自由を濫用することはより少なく、気持ちのよい経験の、より多くの変化を持っている。

赤ん坊時代にはしょっ中、お母さんなり他の人なりの背に乗っている。刑罰もなく、咎めることもなく、叱られることもなく、うるさくぐずぐずいわれることもない。

日本の子供が受ける恩恵と特典とから考えると、彼らはいかにも甘やかされて増長してしまいそうであるが、しかも世界中で両親を敬愛し老年者を尊敬すること日本の子供に如くものはない。汝の父と母とを尊敬せよ・・・・・これは日本人に深く浸み込んだ特性である。」「日本その日その日」モース

また、全国を旅して旅行記を残した英国人女性イザベラ・バードは、ときに日本に対する厳しい記述も見られる一方、子育てに対しては最大級のほめようです。

「彼らに注がれる愛情は、ただただ温かさと平和で彼らを包み込み、その性格の悪いところを抑え、あらゆるよいところを伸ばすように思われます。日本の子供はけっして脅えから嘘を言ったり、過ちを隠したりはしません。青天白日のごとく、嬉しいことも悲しいことも隠さず父や母に話し、一緒に喜んだり癒してもらったりするのです。」「日本奥地紀行」イザベラ・バード

なにか心温まる情景ですね。

 

そして教育は心を養う徳育だけでなく、知識をつける知育の面でもしっかりしたものでした。

「私はもう学生たちに惚れ込んでしまった。これほど熱心に勉強しようとする、いい子どもを教えるのは、実に愉快だ」前掲書 モース

「日本の教育は、ヨーロッパの最も文明化された国民と同じくらいよく普及している。(略)日本には、少なくとも日本文字と中国文字で構成されている自国語を読み書きできない男女はいない」「日本踏査紀行」パンペリー

さらに、儀式や式典など必要な場面で子供達が見せる本物の威厳と落ち着きにも、外国人達は強い印象を受けました。

面白いことに、その様子は西洋人には「痛々しい」と映りました。なぜなら、彼らの知るのは、厳しく子供を力づくで服従させるのが当たり前の教育だったからです。

これほど完璧に振る舞えるようになるために、行われたであろう厳しい訓練を想像して、暗い気持ちになったと思われます。

むろんその想像は誤っていて、子供は当時の生活習慣の中で、ごく自然に幼くして大人顔負けの振る舞いを身につけられたのです(その謎解きは後ほど行います)

このように、子供達は、子供らしい愛らしさ、無邪気さを保ったまま、しかも心優しく賢く育っていたのです。

 

(2) 子育ての実際

当時の人々がどのような子育てをしていたのか。それについても、西洋人の見聞録が役に立ちます。

特に、当時西洋で行われていた子育てとの対比が興味深いです。順に説明します。

①赤ん坊を泣かさない

赤ん坊がお腹が空いて泣くと、母親はすぐに抱きあげて乳を与えてやる。そのため、火がついたように泣く赤ん坊を見たことがないという記述があります。

西洋では、決められた時間が来るまで赤ん坊がいくら泣いても放っておいたようです。

赤ん坊だけでなく、日本の子供は泣かないというのが外国人の間で一種の定説だったようです。

西洋では厳しい罰を与えるのがしつけと考えられていて、子供を鞭打つのは当時ごく普通のことだったようです。そうした記述が頻繁にあります。

②背中で子育て

庶民の子は、母親や上の子供に背負われて育ったという絵や文がよく出てきます。

西洋では親の楽しみから子供を締め出すのが普通でした。自室に閉じ込めたり、留守番させたり。

しかし、日本では、見世物、寺参り、花見、時には長期の巡礼さえ子供も一緒に連れて出かけたのでした。

人が集まる場では、必ず何人か子供の姿が見られるという記述もあります。西洋人にはそれが印象に残る珍しいことだったのでしょう。

幼い子供は、母親の背中で温もりを感じぬくぬくと安心してながら、興味津々で大人の世界をのぞいていたのでしょう。

子守りの効用も同じです。大きい子供が遊ぶ様子を観察し、社会性を身につけていったと根幹がられます。

ちなみに、父親が子育てに参加しなかったわけではありません。小さな子供を抱いて、家の周囲をうろうろ散歩し、珍しいものがあると頭の上まで抱え上げて、子供に見せてやっている姿をよく目にしたそうです。微笑ましいですね。

③社会全体で子供を大切に

子供は町中の道で自由に遊んでいて、馬や乗り物を避けなかったそうです。

働いている大人たちは、子供に寛容で慎重に子供を避けながら歩く光景が見られたそうです。

なお、それは人間だけでなく、犬や猫、鳩などの動物にも適用され、そうした小さな生命も大事にされていたようです。

④子供の世界への不干渉

一方で親が子供の世界に干渉することはありませんでした。遊びにはルールがつきもので、みんながそれを守り、疑義が生じると、大きな子供が裁定したとあります。

いわば子供の世界における自治権のようなものですね。みんなが納得するルールがあるからこそ自由でいられるというのを、体験を通して学んでいたのでしょう。

⑤罰を与えない

西洋では鞭打つ、部屋に閉じ込めるなどの体罰が普通だったようです。大人の力で無理やり服従させる感じですね。

日本では体罰はもとより、上述したとおり、口うるさく小言を言われることもなかったことが伺えます。

それでいて、西洋人たちの子供は、聞き分けず泣きわく、叱られないよう嘘をつくなどしょっちゅうで、親の言うことを聞かせるのにひと騒動だったようです。

 

3. まとめ

いかがでしょう。

あどけなく、純真で、美しく賢い子供達の姿に、もはや失われてしまった日本の美点への愛惜に、胸が熱くなる思いです。

もちろん、当時は貧しい暮らしであり、乳幼児の死亡率も高かった。

それでも、人々は笑顔を絶やさず暮らし、子供達は幸せそうでした。

教育の成果という言葉では言い合わせないぐらい、理想的といっていいほどの人間形成が行われていたのです。

わずか150年前の出来事です。

続編では、この子育てを支えた要因、その後何が失われてしまったのかを見ていきます。

そして、今後の改善に活かせる要素を探ってみたいと思います。

以上

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この記事を書いた人

京都市出身。
京都大学法学部卒業。
大学卒業後、現在のメガバンクに入社、26年間勤務。

ビジネスの現場で産業調査や大企業の事業再生、富裕層取引等を担当、多くの企業経営者、富裕層顧客と接する中で、世の中の流れ、リーダーシップ、お金の本質等について考察を深める。

少年期より「人はなんのために生きるのか」「人はどこから来てどこへ行くのか」を自らに問いかけてきた。バブル世代でいったんは世の中の価値観に染まるが、会社オンリーの人生に生きる意味を見失って挫折を味わう。

魂が震える生き方を追求する中でエネルギーヒーリングに出会い、自身や周りの体験から、自己成長の最高のツールという確信に至り、独立起業を果たし、誰もが物心共に幸せになれる方法として「悟りを目指す生き方」を伝えている。

豊富な社会経験、懐の深さから、経営者、投資家、コンサルタント、カウンセラー、コーチ、医師、作家、セミナー講師、会社員、主婦など、多くのクライアントから支持されている。

著書「先行きの不安から自由になる『お金と心の法則』」(フォレスト出版)

HP:https://fillz.biz

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