一悟術

帰国子女家族に学ぶ「やる気のない息子」を成長させる3つのキーワード 

はじめに《将来よりもゲームが大切だった息子》

4年ほど前に夫がエジプトに転勤することになりました。

当時、私は日本で仕事があり、高校2年生だった長女はフランスに留学中、中学3年生だった長男は日本で高校受験をすることになっていたので、夫は単身赴任をする予定でした。

 

しかし、長男は毎日ゲームばかりして高校受験の準備をする様子が全くありませんでした。

今どきの子らしく「どうにかなる」「誰かがなんとかしてくれる」と思っている姿に危機感と腹立たしさを感じて緊急家族会議を開きました。

 

「お父さんと一緒にエジプトに行きなさい」

家族会議の席で私はいきなりそう言いました。

長男はグッタリと頭を垂れ、夫は鳩が豆鉄砲をくらったように目を丸くしてビックリしていました(夫にも相談なく私の独断で決めたので 笑)。

 

その日から引越までの3ヶ月間、毎日長男と話し合いました。

息子がエジプトに行きたくない一番の理由は現地で今まで通りゲームができないことでした。

将来について聞いても「正直、高校に行く理由が分からない。ゲームができるならフリーターになって気ままに暮らしてもいい。」などと言っていました。

 

その時、高校時代の社会の先生の言葉を思い出しました。

「昔は日本でも大学で学生運動が起きていた。若い人達が社会を動かす原動力になり日本を変えていた。学生運動が起きなくなってしまったことに危機感を持っている」

 

先生は日本が豊かになったことで自分達が社会を変えるという気迫に満ちた若者が減ってしまったことを嘆いていました。

学生運動から派生した暴力行為を支持するつもりは毛頭ありませんが、将来に希望が持てずバーチャルな世界に刺激を求める息子を見て、先生の言葉が心に響いていました。

 

3ヶ月の話し合いの末、最後は息子の方からこう言いました。

「ずっと日本にいても甘えてゲームばかりしてしまうと思う。お父さんと一緒にエジプトに行って世界を見てくる。

 

長男14歳の秋のことでした。

 

1.試練~14歳で千尋の谷へ突き落す~

2016年の秋にエジプトに引越しました。

私も3週間の滞在予定で夫と息子と共にエジプトに渡りました。

夫と私にとってエジプトは新婚時代以来2回目の赴任だったのでカイロ空港に到着した時は故郷に帰ってきたような懐かしさが湧きあがってきました。

 

しかし、郷愁に耽る暇もなくこなさなければならないタスクに追われました。

特に長男の学校を決めるのは神経を使いました。

 

インターナショナルスクールに通う予定で日本にいる時から調べていたのですが、エジプトに到着してみると想像以上にたくさんの学校があることが分かりました。

評判の良い何校かの学校に見学に行き、その中から2校を受験することになりました。

 

1校はアメリカ式の学校でかなりの英語力が求められました。

長男は5歳から8歳までニューヨークに住んでいましたが英語はすっかり忘れてしまっていました。

日本で受験の面接の準備もしたのですが「どうしてこの学校に入りたいの?」という基本的な質問の答えがなかなか思いつきませんでした。

私から強制的にエジプトに行くように言われたので無理もないのですが、、、。

結局、この学校は不合格になりました。

 

2校目はイギリス式の学校でした。

校長先生自ら校内を丁寧に案内してくれてとても印象が良かったのを覚えています。

美術の授業について特に熱心に説明をしてくれたのも好印象でした。

 

この学校の入学試験は私が帰国した後に行われることになりました。

帰国する前日に長男が私のそばに来て「明日帰っちゃうんだよね」と心細げに言いました。

 

同級生達と同じように塾に通って、同じように高校受験の準備を進めていれば、いくらやる気がなくてもどこかの高校には入れたはずです。

それが、日本から10,000 km離れた異国の地でたった一人で受験しなければならないのですから心細くなっても仕方がありません。

 

私は目に溜まった涙を見られないように長男から顔を背けて「まぁ、がんばれ」とだけ言いました。

 

昔の日本では数え年の12~16歳で元服を迎えました。

現代でも15歳で義務教育が終了することを考えると、昔も今も大人になるための大切な時期であることが分かります。

長男が14歳で一人で外国の学校を受験したのは大人の階段を上る第一歩として至極真っ当な試練だったと思っています。

 

親に出来る事といったら、自立の時がきたら可愛い我が子を千尋の谷に突き落として這い上がってくるのを信頼して見守るくらいです。

 

私が帰国した一週間後、長男の合格の知らせが届きました。

 

2.孤独~17歳で発展途上国での一人暮らし~

エジプトでの学校生活が始まりました。

エジプトでは登校から下校して帰宅するまでとても疲れます。

交通ルールがほとんど無いに等しい高速道路を渋滞にハマりながら片道1時間かけて毎日通いました。

イギリス式の学校ですから当然のことながら授業もテストも全て英語です。

帰宅してからも山のように出された宿題をこなし、また次の朝早くに学校に通うという生活が日常になりました。

 

そんな生活が2年ほど経った年末に、夫と長女(高校3年生から長男と同じ学校に通い始めていました)が冬休み休暇で帰国することになりました。

長男はというと、良い機会なのでエジプトで2週間一人暮らしをさせてみることにしました。

 

最初は、エジプト生活に疲れているのに自分だけ残されるショックで落ち込んでいた長男ですが「一人暮らし」という初めての体験に徐々に興味を持ち始めました。

そして、いざ一人になってみると父親や姉からガミガミ小言を言われることもない自由気ままな生活が気に入ったようでした(笑)

 

近所の日本人のご家族が気をかけて息子をご自宅に招待してくださる機会が何回かあったそうです。

その頃には多少料理ができるようになっていた息子は、手土産にハンバーグを作って持っていったそうです。

17歳の息子がそんな気遣いができるようになったのかと母親として少し感心した出来事でした。

 

発展途上国で一人での生活を体験させた事にも大きな意味がありました。

日本に比べればかなり不便な上に、テロの危険もある国なので気持ちのどこかで常に緊張感を強いられます。

一瞬の気の緩みがケガや、最悪の場合、命の危険にもつながります。

そんなエジプトで一人生活をすることで意識を持続させることがある程度できるようになったと感じています。

 

家族の誰かがいれば依存してしまいますが、孤独になったことで自己防衛本能が適切に働くようになったのだと思います。

 

イギリス式の学校は2年で高校卒業の資格を取得することができます。

長男も17歳の5月に高校を卒業しました。

そしてその夏に父親の転勤でアメリカに引越すことになり、アメリカでの大学生活が始まりました。

 

3.決意~19歳で対等になる~

長男はアメリカのワシントンD.C.に引越し、現地のカレッジに通い始めました。

エジプトで3年間を過ごしてもまだ将来の方向性が明確に決まっていない長男はカレッジに通う意味も分からないままダラダラと過ごしていました。

相変わらずゲームも続けていました。

 

そんな長男の様子を見て、再度、家族会議になりました。

学費を支払っているこちらの立場としては嫌々大学に通っている長男に無駄な投資はしたくないわけです。

 

「頼んで大学に通ってもらっているわけではないのだから、あなたが大学に行きたくないのなら直ぐに止めていい。ただ、そうなったら社会人なのだから家から出て働いて自立しなさい」

社会人になったら家から出すのは子供達が小さい頃から決めていました。

 

私からそう言われて長男はしばらく悩んでいましたが、こう言いました。

「大学を止めて、日本に帰って働いて自立する」

 

この言葉を聞いた時に、安易な気持ちというか甘えが感じられたので、更にこう聞きました。

「まさか、東京のおばあちゃんの家に転がり込もうとか思ってるんじゃないでしょうね?」

図星だったらしく、長男は真っ青になりました。

 

烈火の如く怒りが爆発しました。

あまりに恐ろしかったらしく、その後、長男は家の外に出てしばらく帰ってきませんでした(笑)

 

頭が冷えたのか、帰宅してからこう言ってきました。

「まだ将来どうしたいか決めてないけど、もう少しアメリカで頑張ってみようと思う」

 

あれから2年が経ち、今も長男はカレッジに通っています。

その長男から先日電話がかかってきました。

あと少しでカレッジ修了の単位が取れそうだからこの夏も帰国しないで夏季クラスを受講するという連絡でした。

カレッジ修了の単位が取れれば日本の大学に編入できる可能性が高くなるそうです。

 

「14歳から日本を離れてエジプトとアメリカで生活して、一通り何でもできるようになって、カレッジの修了資格まで得るのは凄いと思うよ」と言うと、電話の向こうで長男が照れているのが分かりました。

 

決してお世辞ではなく、対等な人間同士として本当に凄いと思って言ったことでした。

 

最近、アメリカの自宅にいらしたお客様が長男の接客する姿を見てとても感心してくださったそうです。

「子育てに成功しましたねって言われたよ」と夫が嬉しそうに報告してくれました。

 

14歳でエジプトに残してきた時のまだ幼さの残る長男の心細げな表情は今も覚えていますが、思い切って突き放して良かったと思っています。

親子で決断をしたことで、長男も自ら人生を切り開ける大人に成長していってくれているようです。

 

おわりに《十代での留学のススメ》

感受性豊かな時期に家から離れた場所で刺激を受けることは子供のその後の人生の大きな糧になります。

外国への留学が難しい場合、日本にいても子供が親元を離れて自立する体験をすることは可能です。

最近では島留学など、日本国内でも子供が貴重な体験をすることができます。

 

日本は都道府県ごとに独特の豊かな文化があります。

その環境を利用して子供に留学を勧めてみてはいかがでしょうか?

特に多感な十代のうちに留学を経験することは子供にとって大きな財産になり得ます。

 

また、親から子供に留学を勧めることにも大きな意味があります。

子供はこの世に生を受けた時から日に日に成長して親から離れていきます。

いつか完全に自立していく子供に留学を提案することで、親にとっても子供を手放す覚悟ができると思うのです。

今夜あたり、家族会議で話し合ってみてはいかがでしょうか?

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