親子関係が辛い…『私』を自由にする方法

この記事の目次

はじめに

人間関係の改善を進めるうえで多く取り上げられる“親子関係”。皆さんの家庭状況はいかがでしょうか。「私たちは子供が大好きです」と話す親や、「自分は親のことを尊敬していますし、感謝しています」と話す子供側の姿はとても理想的かもしれませんが、実際には「親子関係がギクシャクしている…」と、内心を話す人も少なくありません。

親子関係の修復には、様々なケースが考えられるので一概にはいえませんが、共通点があります。それは、ギクシャクした関係の“原因を模索”していく必要がある点です。そして、掘り下げていくなかで、お互いに抱えている気持ちの“ズレ”に気がつくことになるでしょう。

では、そうした気持ちの“ズレ”はどうして起こるのでしょうか。それは、お互いの“立ち位置”によって、考え方や感じ方が違うからだといえます。

ここで触れている立ち位置とは、「親として」、「子供として」という位置感覚となるので、自分の立ち位置を把握するとともに、相手のことをよく観ることから始めることが解決の糸口を掴むきっかけになります。

今回は、「子供の立ち位置から、親を見てみる」ことを主眼に、親との距離感を保つ方法について展開していきます。対処方法については、立ち位置を変えて考えてみることで、日常や社会生活でも活用できるように紹介していきますので、実際に試してみるといいでしょう。

 

 

1、子供から観る、親との関係について

 

 

親子関係にストレスを感じているのは、子供の時だけではありません。成人して30代、40代と歳を重ねても、子供が親との関係に悩むケースは少なくありません。

近年、世の中に浸透してきた、「毒親」というキーワードをご存知でしょうか。

「毒親」という言葉は、2001年に発刊された『毒になる親 一生苦しむ子供』(スーザン・フォワード著、玉置悟訳、2001年、講談社+α)が話題となり、知られるようになった俗語だとされています。その“毒親”の意味には、子供に対して何らかのプレッシャーを与える言動から、酷い虐待行為まで、「毒」とカテゴライズされる親の行動は様々とあるようです。

実際には、虐待行為をする深刻な“毒親”状態ではないものの、会話の端々で子供が傷つく言動をしたり、悪気なく子供のためにならないことや迷惑になることをしてしまったりするような親の行為も含まれます。

例えば、成人を過ぎている子供に向かって、「高い学費をかけて育てたのに、この状態じゃあね〜(笑)」や、「あんたは性格悪いから、結婚なんて無理よね〜(笑)」というように、冗談のつもりで話していても、聞いている子供はとても傷ついていることがあります。

また、子供のライフスタイルや好みを無視して、親切の押し売りかのように物品を送りつけられることによって、「せっかく送ってくれたのだから感謝しないとな…」というような強迫的な気持ちを感じざる得ないストレスも考えられます。

これまでの人生において、親から言われた言葉や、行動について思い返してみてはいかがでしょう。

 

2、じゃ、どうしたらいいの?

 

 

成人を迎えた子供にとって、親との距離感に悩む人は少なからずいます。時には思い悩んで、「こんなによくしてくれているのに、感謝することができないのは…自分の性格に問題があるのではないか?」とか、「親の言動に、いちいちイライラしてしまう自分を止めたい!」と、心身的なストレスを肥大化させていないでしょうか。

このようなストレスの原因として、生まれた年代や生活環境、個性や文化は異なるところに、考え方の相違が発生し、イライラした気持ちをお互いに溜め込んでいる可能性があります。そもそも、合わないもの同士の距離感が近ければ、ストレスが溜まるのも自然なことです。ですから、“自分に問題がある”わけでもなく、冷たい性格だから“イライラしている”わけでもありません。

お互いの考えや意思を尊重して付き合える距離感を身につけることが必要となります。ここからは、お互いに適度な距離感を保つための対処法を一部紹介していきます。

 

対処法その1:自分を守る「壁」をつくる。

親から会いたいと言われれば会う時間を作り、留守電が入っていれば折り返す。そして、極力自分自身のこと(近況や悩み事)は語らず、愚痴などの聞き役に徹するということはないでしょうか。

聞き手という立場は、ストレスが溜まり続けますし、黙って聴き続けると相手がエスカレートする場合もあります。ですから、聞き役だけではなく、自分の主張を伝える必要もあるのです。

主張を伝えるときには、丁寧に理論理屈を伝えて納得してもらう前に、親の介入から自分自身を守る「壁」をつくることを忘れてはいけません。「壁」を作って話を聞くことに対して、悪いことのように受け取る人もいるかもしれませんが、「親が思い描くような幸せを実現させたい」と“強く”考えている子供や、“いい子”といわれるような幼少期をおくった子供であれば、自分自身を守る「壁」を作っておかなくては、たちまち萎縮してしまって、話を聞くのみになってしまいます。良好な関係を築くためにも、「壁」をつくるという方法が対処法となるのです。

 

対処法その2:発言は、言い切る。

何事においても、断言する際に大切なことは、動揺を見せないことです。親を傷つけてはいけないと思うばかりに、「〜かもね」や、「〜だと思うけど…」と話の語尾が揺らいでしまっては、いつになっても伝わりません。

さらに、こうした言葉の揺らぎを感じた親は、子供の考えを改めさせようと迫るだけでなく、会話全体のペースを握ろうと、さらに迫ってきます。

親に向かって断言したことがなく、“いい子”を演じてきた(または、せざるえなかった)子供にとって、断言することは、多少なりとも語尾が震えるかもしれませんが、心まで揺らしてしまってはいけません。子供の立場から、親にはここから先には立ち入ってほしくないという線引き(境界線)をして、自分自身を守っていくことが大切になります。

とは言っても、いきなり断言するように行動することで、「親が傷つくかもしれない」と考える人もいるでしょう。しかし、子供が考えているほど親は傷つきません。なぜなら、何を言っても変わらないと判断した場合は潔く撤退していることがあり、さらには、「この子は私たちの子供だから」という甘えからの言動であることもよくあるからです。

子供の立場から、親の束縛に耐えることができないと感じているのであれば、勇気を持ってぶつかることも覚悟して、はっきりと「断言」することが大切です。もしかしたら、親から思いも寄らない言動が飛び出してくるかもしれません。泣き落としをされるかもしれません。しかし、妥協をし続けていては、いつまで経っても適切な距離感を掴むことができませんので、まずは自分の考えをはっきり伝えるよう意識することから始めてみてはいかがでしょう。

 

 

対処法その3:安易に謝らない。

社会生活を送るうえで、自分が悪いわけではないにもかかわらず、即座に謝った方がお互いにスッキリする場面があります。外出先などで肩がぶつかった時などに、「すみません」や「失礼しました」と言い合うのは、社会生活において必要な“挨拶”の一部として活用されています。

しかし、日頃の習慣で条件反射的に謝罪していたがために、深刻なトラブルに巻き込まれてしまったと話す人も少なくありません。こうした条件反射的に謝罪している場面は、社会生活上よりも日常生活上に多くあるようです。

たとえば、幼少期から必要以上の“ダメ出し”をされて育ってきた人は、すぐに「ごめんなさい」という癖を持っている傾向が強く、謝罪することでその場が収まることを、無意識の内に自分自身を守る術として身につけてしまったということがあります。

親との関係に悩む子供の多くが、親の体調不良を感じた時(見た時)に、「子供である自分がしっかりしなかったから、親の体調がわるくなった…」と、強烈な罪悪感を感じたと話す人もいます。しかし、親に対して「ごめんね…。」という言葉を向ける必要はありません。なぜなら、親の体調不良は、子供の責任ではないからです。

こうしたときには、「ごめんね…。」と謝るのではなく、「大丈夫?体調悪いんだね。どうして欲しい?いつもの薬、とって来ようか?」というように回答すると、少し距離をとることができるでしょう。

子供が親に対して、毅然した態度を取ることに対して、“非情だ!”とか、“恩知らず!”というような考えを持つ人もいるかもしれませんが、決して親を見捨ててはいません。むしろ、一人の人間として尊重し、尊敬しているからこそ出来る態度のひとつとして捉えることができるでしょう。

ですから、安易に謝罪の言葉を使わないということが、親と子供との関係において大切になってきますし、お互いの距離感を保つ秘訣にもなってくるのです。

 

さいごに

 

 

これまでの人生で抱えていた問題の一端が親子関係にあると気がついたのであれば、物理的にも精神的にも距離を置くようにすることで、物事の見え方に変化が現れます。時には、「私がこんな人生になったのは、親のせいだっ!」と、親に対する怒りが湧いてくることもあるでしょう。しかし、実際の当事者である親の内面を変えることはできません。

悔しさや苦しさ、悲しさなどの気持ちに振り回されてしまうかもしれませんが、親を批判したところで、自分自身の生活や今後の人生が良くなることはありませんので、まずは、自分の人生を生きることに専念することにポイントを置いていきましょう。

こうしたことにポイントを置いて、人生をイキイキと生きようとすると、親からは、「私たちを差し置いて、なんて薄情な子なのっ!」という言葉や、「育ててきた恩を忘れるのかっ!」と、元の関係に戻そうと、ゆさぶりをかけてくることがあるかもしれません。しかし、この場面においても、親との距離感を保つ意識が重要です。

なぜなら、自分自身の人生ですから、自分の判断で自由に行動できるようにすることはもちろんのこと、誰にも束縛されることのない人生を、心から楽しめるためには、一番大切な要素となるからです。

 

あなたは、誰にも縛られることのない、自分の思い描いた生活を、自由に送ることができていますか?

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この記事を書いた人

1980年11月、千葉県生まれ。

1999年4月、建築設備業(空調設備・給排水衛生設備・修理、保守管理)の会社に入社。在籍中は、現場監督・営業職・社内経理等を担当。専門技術者として経験を積む。

2010年4月、民間の社会教育団体に入所。前職の経験を活かしつつ、”心の働かせ方”について学ぶ。さらに、「心の働かせ方・考え方」に関するセミナーを全国約1,200会場、講師として経験する。同時に、企業向け情報誌の執筆や経営者を対象に心の経営指導にも従事した。

2017年6月、これまでの経験を活かしつつ、多くの方々と共に”心”の勉強をしていく為の場所として「NextStage(ネクストステージ)」を立ち上げる。現在の活動拠点は、神奈川県三浦市、千葉県南房総市、熊本県菊池郡に置いている。また拠点に関わらず、連絡を受ければ全国何処にでも行動する瞬発力をもって、活動展開をしている。

HP:https://nextstage-iida.amebaownd.com

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