一悟術

地球の歴史 ペルム紀―史上最大の絶滅に至るまでー 

古生代最後の期であるペルム紀。

哺乳類の祖である単弓類が大繁栄したこの時代の終わりには、地球史上最大規模の絶滅が起きたとされています。

この大量絶滅はなぜ起こったのでしょうか。

ペルム紀の歴史とともにみていきましょう。

 

概要

ペルム紀は、石炭紀の後、古生代の最後にあたり、約2億9900万年前~約2億5100万年前までの地質時代を指します。

以前は、ドイツで大きく赤色砂岩層と石灰岩層の二層が重なっていることから二畳紀と呼ばれていました。

ちなみに、「畳」は幾重にも重なるという意味を持つ「重畳(ちょうじょう)する」という言葉から地層を畳に見立ててつけられました。

 

そして、ペルム紀という名称は、1841年に地質学者のマーチソンがロシアのウラル山脈の西側の都市ペルミにちなんで名付けたものです。

彼がこの地を訪れ、地層を観察したところ、ペルム紀の前の時代である石炭紀とペルム紀の後の時代である三畳紀のものの中間型の地層があることを発見し、石炭紀と三畳紀の間にペルム紀を導入しました。

 

地球環境

石炭紀から続く氷河期で始まったこの時代は、中期にかけて温暖な気候へと変化していきました。

しかし、後期になると気候は暑く、特に古生代の終わりに誕生したパンゲア大陸の内陸部は海風が届かないこともあり、大変厳しい環境であったとされています。年平均の雨量が2mmにも満たず、最高気温は45度にも達したと推察されています。

そのいっぽう、パンゲアの一部の地域では、寒暖差が激しく、夏には25度、冬にはマイナス25度にもなったようです。

 

ペルム紀の大陸―パンゲア大陸の登場―

ペルム紀の終わり約2億5000万年前にローレンシア大陸、パルティカ大陸、ゴンドワナ大陸、シベリア大陸などすべての大陸が次々と衝突し、一つの巨大なパンゲア大陸を形成しました。

ちなみに、ローレンシア大陸とパルティカ大陸は、すでにデボン紀に衝突し、ユーラメリカ大陸を形成し、ペルム紀初期にはユーラメリカ大陸とゴンドワナ大陸が衝突しています。

 

そして、この超大陸が完成したとき、地球内部でスーパープルームが上昇し、世界各地の火山活動が活発化したといわれています。

ちなみに、プルームとは「煙」を意味し、地球内部にあるマントルの中を上昇するものをホットプルーム、下降するものをコールドプルームと呼び、プルームが深さ670km付近を超え大きく上昇、あるいは下降したものをスーパープルームといいます。

 

ペルム紀の動物―単弓類の時代から絶滅へ―

この時代には、単弓類と呼ばれるグループが栄えました。

単弓類は、以前は、哺乳類型爬虫類とも呼ばれていました。

初期の単弓類は、盤竜類(ばんりゅうるい)で、有羊膜類(発生の初期段階に胚が羊膜を持つもの)である竜弓類からかなり初期に分岐しました。

ペルム紀初期に現れた強力な捕食動物であるディメトロドンがそうです。

 

盤竜類に代わって繁栄したのが獣弓類です。パンゲア大陸の隅々にまで分布を広げ、陸上の生態系の頂点に君臨していました。

初期の獣弓類は、盤竜類とそれほど変わらない外観をしていましたが、やがて体毛や恒温性という哺乳類的特徴を獲得していきます。

獣弓類の主要なグループには、ディノケファルス亜目、異歯亜目、獣歯類があります。

ディノケファルス亜目は、角や牙など奇怪な頭部をもち、ペルム紀後期に反映するものの、ペルム紀の終わりを待たずに絶滅しました。

異歯亜目の代表としては、上顎に発達した一対の犬歯しか持たないディキノドン類がありまる。

獣歯類は大きく長大な犬歯を持つゴルゴノプス亜目、大型の捕食者を輩出したテロケファロス亜目、現在の哺乳類の特徴の大半を持つキノドン類に分かれます。

また、ワニと恐竜の祖先である主竜類が登場したのもこの時代です。

 

いっぽう、その当時の海の中の動物には、ペルム紀に出現し、大量絶滅をも乗り切り、約1億4500万円前まで世界中の海に広く生息していたコエラカントゥスという硬骨魚類の一種がいました。それは、手足のようなヒレを持ち、陸棲脊椎動物の祖先に近い形状をしています。

シルル紀後期に出現した条鰭魚類(じょうきるい)も、多様な進化と水中環境への適応を遂げ、大絶滅をも乗り切り、現代のあらゆる海水・陸水で繁栄するグループとなっています。

 

いっぽう、アカントーデスなどの棘魚類、これは上下の顎を持つ最古の脊椎動物であり、尾鰭以外の全ての鰭に棘をもっていたのですが、これはペルム紀前期には、そのほとんどが絶滅しました。

また、デボン紀に出現したサメ属の一種、オルサカンサスは、約2億6000万年前には淡水沼の生態系の頂点に君臨する捕食者でしたが、約2億2500万年前、中生代に入る前には姿を消しています。

 

ペルム紀の植物―植物の急激な減少が引き起こした温暖化―

シダ種子類とヒゲノカズラ類が主に反映していました。

しかし、ペルム紀末から三畳紀にかけて、植物の様子は一変します。

古生代のシダ種子類や裸子植物のコルダイテスは、ペルム紀末にほぼ絶滅し、多様な裸子植物が出現します。

ペルム紀後期から白亜紀前期は裸子植物の時代で、中でもキカデオイデア類が栄えました。

 

このように植物の様子が変わったわけですが、その要因の一つは、ペルム紀末に地上に広がった自然火災です。それによって、森林が急激に減ってしまいました。

中国科学院南京地質古生物学研究所の古生物学者である沈樹忠氏によると、この年代に堆積した岩盤から炭が豊富でススをかぶった層が大量に見つかっているそうです。

植物が急激に減ったことで、地球は暴走する温室と化してしまいました。地球の温度を上げる要因となる二酸化炭素を処理する手段を失ってしまったのです。

 

ペルム紀末の大絶滅

この時代の最後に、史上最大の大量絶滅が起こりました。

ペルム紀(Permian)と三畳紀(Triassic)の頭文字をとって「P/T境界絶滅事件」と呼ばれています。

陸域周辺の大陸棚の浅い海には、多くの種類の動物が生息していましたが、その多くが短期間に絶滅してしまいました。それは、他の大量絶滅と比べても桁違いに大きな出来事でした。

その被害は、四肢動物の50~60%(種単位では90%)、海生動物の反芻(種単位では95%)にも上りました。

絶滅したものの中には、古生代を代表する三葉虫、フズリナ、四放サンゴも含まれていました。

また、盤竜類、両生類のいくつかのグループも絶滅し、多くの獣弓類や腕足類、ウミユリも姿を消しました。

 

そのいっぽうで、軟骨魚類のうちサメの仲間、一部の有孔虫類、二枚貝や巻貝類の被害は軽微でした。

絶滅を逃れた種に関して、この絶滅の時期から小型化していることも分かっています。

 

この絶滅の原因については、気候の温暖化や寒冷化、海水の塩分の濃度の変化、海水面の変動と生息地の減少、「超新星爆破」と呼ばれる天体現象など諸説ありますが、結論には至っていません。

ただ地球外の原因を示す証拠がまったくないため、地球内に原因があったのではないかと考えられています。

 

これら諸説の中で有力なのが、パンゲア大陸の分裂の引き金ともなったスーパープルームの活動です。

実際、P/T大量絶滅は、パンゲア大陸の最初の分裂の時期とも一致しています。

 

スーパープルームは、地表から2900kmの深さにある核とマントルの境界で、完結的に発生する高温の上昇流です。

これによって、広範囲で異常に大規模な火山活動が起き、それに伴って超大陸の初期の分裂が始まります。最初に噴出したのは、キンバーライト質のマグマだったとされています。

地表150kmよりも深いところで生成され、ダイヤモンドを含む火山岩です。

それは、気体を大量に含み、新幹線並みの高速で地表に上昇し、爆発的に噴火します。

その噴火によって大量のちりやガスが大気上空の成層圏に噴き上げられ、成層圏内に長くとどまり、太陽光を遮ることとなったのです。

太陽光が遮断されたため、地表は暗く、急激に気温も低下しました。その結果、ちりやガスに含まれていた窒素酸化物や二酸化炭素が酸性雨となって、地表に降り注ぎ、大気中に蓄積した二酸化炭素による温室効果により、今度は温暖化が始まります。

 

このように短期間でおこった環境変化は、動植物にとって強いストレスとなりました。特に、食物連鎖の基礎である光合成の停止は致命的でした。

この光合成の停止による酸素濃度の低下により、陸上・海中ともに生物の生息環境が極めて悪化し、大量絶滅につながったと考えられています。

 

海では、メタンガスが海底から放出され、酸素がほとんどない状態にまでなったようです

実際、海中での大絶滅の時期に炭素循環が根本的に変化し、酸素レベルが低下して負荷がかかっていたことを示す具体的な証拠が見つかっています。

この時代の化石から大絶滅の時期の海生生物の化石から、通常の種類から低酸素に耐えうる種類へと移行していったことも分かっています。

 

まとめ

史上最大といわれたペルム紀末の大絶滅を中心にペルム紀についてまとめてみました。

絶滅の原因は未だ結論には至っておらず、他の絶滅の時と比べ、新たに生物が多様性を獲得するのにも時間がかかったとされています。

この絶滅で長きにわたった古生代という一つの時代が幕を閉じたのです。

この絶滅なくして新たな恐竜が栄えた中生代という時代は訪れなかったのかもしれません。

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