地球の歴史 新たな時代三畳紀―中生代の幕開け―

古生代・中生代・新生代と分かれる地質時代の区分の一つである中生代。

一つの大きな時代であった古生代が終わり、迎えた中生代は、恐竜の時代ともいわれています。

中生代は、さらに三畳紀・ジュラ紀・白亜紀の3つの時代に分けられます。

新たな時代、中生代の最初の時代である三畳紀についてみていきましょう。

 

この記事の目次

概要

三畳紀は、おおよそ25100万年前に始まり、19960万年前ころまで続く地質時代を指します。

トリアス紀と呼ばれることもあります。

三畳紀の名前の由来は、南ドイツで発見されたこの紀の地層が三層の堆積条件が異なるものが重畳していたことによります。

その三層は、下から赤色の砂岩、白色の海成石灰岩、茶色の陸成砂岩から成っています。

地球史上最大の絶滅といわれるペルム紀末の後だけあって、この紀にはその絶滅をも乗り越え生き延びた生物が多様性を回復し、今までとは別の生物相ができあがりました。 

三畳紀の大陸

古生代末、ほとんど全ての大陸が合体してパンゲア大陸という大きな大陸を形成し、三畳紀もこの大陸が存在していました。

この大陸は、赤道を挟んで三日月型に広がっており、三日月内部には浅く広大な内海はテチス海が、大陸の周囲には巨大な海洋パンサラッサがありました。

パンゲア大陸では、山地を崩して内陸部に広大な平野をつくる陸地の平原化現象が進行し、その平野部は乾燥化の影響で砂漠化が進み、砂漠のところどころにオアシスがあったとされています。

また、全ての大陸が地続きで、動植物は移動できたため、今よりも多様性は低かったといわれています。

三畳紀の地球環境

三畳紀前期の地球は、大気中の二酸化炭素濃度が高く、「ホットハウスアース」と呼ばれる極端に温暖で、乾燥した気候であったとされています。

そのため、森林は減少し、酸素濃度が10%程度まで低下していたようです。

この低酸素の環境でも効率的な呼吸が可能なように、気嚢をもつ生物が出現し、この生物が恐竜へと進化しました。

中生代に恐竜が繁栄したのもこの呼吸システムのためといわれています。

また、深い海にも、無酸素水塊が存在していたそうです。

ちなみに、水塊とは、海水温・塩分・溶存酸素・栄養塩類などが一様な海水の塊のことです。
この範囲では、水色、透明度、プランクトンなどの特性もまたほとんど同じです。この区間の境界はこれらの性質が比較的急激に変化する不連続帯になっています。

そのため、深い海では大型の生物が住むことができませんでした。
多くの生物は浅い海で生活していたことが分かっています。

酸素欠乏が緩和されてきたのが、三畳紀中期
それに伴って、生物は深い海でも生活できるようになりました。
 

三畳紀の動物 

この紀では、爬虫類が多様化した時代です。

ペルム紀末の大量絶滅を生き延びたとはいえ、三畳紀前期はまだ生物の多様性は非常に低かったとされています。

生物多様性が十分に回復したのは、三畳紀中期以降

地上の低酸素状態に適応した爬虫類が急激に反映します。

そのころに最初の恐竜も現れました。

とはいっても、この時期の恐竜はまだまだ小型。

大きさは、だいたい1メートルくらい。大きなものでも3メートルほどだったとされています。

哺乳類誕生

三畳紀後期になると、ついに単弓類から哺乳類が登場しました。

現在見つかっている哺乳類のなかで、最も古いのが、アデロバシレウスで、22500万年前に北アメリカに生息していたとされています。

1989年に糞化石の中から5cmほどの頭骨の一部が発見されました。

どうも何らかの動物に丸呑み状態で捕食されたようです。

体長は1015㎝、その小ささからか、この名前の由来は、「目立たない王」。

外観は、現在のトガリネズミのようだったのではないかと考えられています。

眼窩(目玉がおさまっている頭蓋骨前面の穴)に視神経孔(視神経が通る穴)があったり、中耳の内側の壁に岬角(こうかく)という隆起があったりなど、獣弓類にはなく哺乳類にのみ見られる特徴を持っていました。

ただアデロバシレウスは、現存する哺乳類の多くの種が胎生であるのに対し、哺乳類ではありますが、繁殖は卵を産んでいたようです。

恐竜から身を守るため、夜に落ち葉の中の昆虫を食べて、ひっそりと生活していました。 

それとは別の爬虫類のグループからは、ワニの仲間、カメの仲間、そして恐竜類、、さらには翼竜類が登場しました。

ワニの祖先 クルロタルシ類

ワニの祖先といわれるクルロタルシ類が出現したのが24000万年前。

クルロタルシ類は、主竜類の二大グループの一つで、ワニと既に絶滅してしまった食竜類が含まれます。

ちなみに、もう一つの大グループは鳥頸類です。

この時期のクルロタルシ類は、陸上で圧倒的な支配力を誇っていたとされています。

栄枯盛衰といいますが、その4000万年後、2億年前に謎の天変地異が起き、クルロタルシ類はほとんど姿を消すことになります。

それが恐竜時代の始まりです。

同じような時期に海でも巨大な捕食動物が出現しました。

そのため、生き残ったワニ類は様々な形に姿を変え、最終的には川や沼沢地(しょうたくち:水草が茂っている水たまり)などの湿地帯で生息することになったのです。

最古のカメには甲羅がなかった

22800万年前、原始的なカメが生息していたことがわかっています。

胴体が円盤状に平たく、くちばしが発達している一方で歯も残っていたようです。

くちばしと歯が半分ずつの顎があり、カメの形態上の最大の特徴である甲羅はありませんでした。

中国で見つかった最古のくちばしのあるカメという意味で、エオリンコケリス・シネンシスと呼ばれています。

この見つかった化石の全長は、2.5mとかなり大型。長い尾と背中に沿う広く平らな肋骨があります。この肋骨が、円盤状の甲羅の原型だとか。

恐竜類

三畳紀の恐竜は、まだ数も種類も少ない状態でした。

特に中期ころは生態系に占める恐竜の割合は5%程度とまだまだ目立たない存在だったようです。

それが、後期になり多くの植物食動物が絶滅に伴い、恐竜の占める割合が増えることになります。

恐竜の三大グループである獣脚類、竜脚形類、鳥盤類が現れたのもこの時期です。

特に、獣脚類と竜脚形類は一気に勢力を広げていきました。

獣脚類

獣脚類は一般的に、細長い体で比較的後肢が長く、素早く行動できた二足歩行の肉食恐竜です。

ヴェロキペス、エオドロアエウス、キンデサウルス、コエロフィシス、ゴジラサウルス、スタウリコサウルス、ハルティコサウルス、プロコンプソグナトゥス、ヘレラサウルス、リリエンステルヌス、レヴェルトラプトルなどがいます。

竜脚類

竜脚類は、長い首を持った体の大きい草食恐竜です。

アグロサウルス、アシロサウルス、アンキサウルス、アンテトニトルス、イサノサウルス、ウナイサウルス、エウクネメサウルス、テコドントサウルス、パンティドラコ、プラテオサウルス、プリカナサウルス、ムスサウルス、メラノロサウルス、リオハサウルス、レッセムサウルスなどがいます。 

鳥盤類

恥骨が後ろを向く骨盤を持つ恐竜の仲間です。

三畳紀の鳥盤類の進化は限られており、ジュラ紀に入ってから多様化していきました。

エオカーソル・パルヴァス、ゲアサウリア、ピサノサウルスなどがいます。

翼竜類

最初に空を飛んだ脊椎動物がこの翼竜類です。

恐竜と同じく主竜類に含まれますが、三畳紀中期に恐竜と分岐した別のグループです。

この時代は、ランフォリンクスなどの小型で尾の長いものが多かったようです。

海の生物―魚竜の出現ー

古生代末の大量絶滅によって海の生物界は大きな変化を遂げました。

これまで栄えていた多くの生物が絶滅し、三畳紀初期には生物の多様性は著しく減っていました。

この危機を乗り越え、新たな進化を遂げ発展したのが、六放サンゴ、セラタイト型アンモナイト、翼形二枚貝です。

また、三畳紀前期、約25000万年前に完全に水中での生活に適応した爬虫類である魚竜が現れます。

大きなイルカのような姿をしており、非常に速く泳ぐことができたようです。
そして、顎に並んだ鋭い歯で原始的なイカなどを捕食していたとされています。

キンボスポンディルス、シャスタサウルス、シュニサウルス、チャオフサウルスなどかいました。

三畳紀の植物

三畳紀の前、古生代後期に出現した初期の裸子植物であるシダ種子植物は、古生代末に地球環境の乾燥化とともにイチョウ類、ソテツ類、キカデオイデア類が分化し、シダ植物とその地位を交代しました。

その後、葉が針のように長い針葉樹が分化しました。

三畳紀の初期、パンゲア北部では、針葉樹やイチョウの森林が発達し、恐竜の繁栄を支えたとされています。 

三畳紀末の大量絶滅

恐竜の繁栄のきっかけとなったのが、三畳紀末におこった大量絶滅だったといわれています。
地球上の生物の半分以上が絶滅しました。

この原因として考えられているのが、溶岩の噴出です。

これによって、大気中の二酸化炭素の増加、気温の上昇、海水の酸性化といったことが急速に起こり、その変化に対応しきれず絶滅へとつながったと考えられています。

ただ、2016年と最近になって、21500万年前の巨大隕石の衝突が海洋生物の絶滅につながったとする証拠が見つかるなど、未だ原因に関して結論が出ていない状況です。

まとめ

地球最大規模の絶滅の後の中生代、最初の時代である三畳紀についてまとめてみました。

地球環境の大きな変化の中、その環境に適応するように現れた恐竜の時代の幕開けです。

この時代は、まだ爬虫類全盛だったわけですが、三畳紀末の大量絶滅を機に立場が逆転することになります。

また、哺乳類誕生という人類への進化への種がこの時代に芽吹き、後の恐竜絶滅後の哺乳類の進化と繁栄へ導きました。

この過程をみると、一見不運に見える大量絶滅なくして、進化はありえなかったのかもしれません。

 

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この記事を書いた人

研修医期間終了後、神経内科医として主に急性期病院にて13年間勤務。
3年間の回復期病棟での勤務を経て、平成24年より在宅医療に従事。2018年5月ヘテロクリニック開設。

多くの患者さんにかかわる中で、より健康であるためには、病気にだけフォーカスをあてるのでは不十分なのではないかと実感し、医療の分野以外にも学んでいる。

高齢になっても若々しく元気な方たちの特徴から、自分らしく生きることが重要性を感じ、そのためのツールとして脳と心についての情報をフェイスブックページやホームページを通じて発信している。

日本内科学会 内科認定医、日本神経学会 神経内科専門医、医学博士、認定産業医、日本臨床栄養協会 サプリメントアドバイザー、感情カウンセラー協会認定 感情カウンセラー、リズ・ブルボーのからだの声を聞きなさいスクール カウンセラーコース終了、NLPプラクティショナー、著書に『クスリに頼らない免疫力向上計画』(みらいパブリッシング)、『脳の取扱説明書』(みらいパブリッシング)

HP:https://hetero-clinic.com/
HP:https://www.harmonista.org/
HP:https://harmonista.jp/

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