一悟術

生命の神秘―生命はどのようにして生まれたのか― 

宇宙が誕生したのが今から137億年前。そのおおよそ90億年後の46億年前に太陽系が誕生し、45億4000万年前に私たちの星、地球が誕生しました。

とはいえ、誕生したばかりの地球には生命などおらず、海ができたのも40億年前といわれています。

生命はいつ、どのようにして生まれたのでしょうか。その謎についてまとめてみました。

 

そもそも生命とは何か

そもそも生命とは何か

物質と生命との違いとは、いったい何なのでしょうか。

その問いに対して思いうかべるものは人それぞれかもしれません。実際、自然科学としての生物学的立場(生理学、生命科学)からでさえも明確な答えは得られていません。

この解答を得るために、現在もさまざまな方面からのアプローチが試みられており、最近では特に、新しい生命システムをデザインして組み立てる研究が盛んになってきています。

とはいえ、生命が次に示す6つの特徴を持つということで、ある程度の合意は得られています。
第 1 は植物や動物を含めてすべての生物が細胞からなりたっていることです。37億年前海の中で偶然にできた細胞(バクテリア)がもとになっているといわれています。私たちの体を構成する60兆の細胞もこの細胞の続きと考えられます。

第 2 は、細胞分裂を通して自己と同じものを造りだし(自己複製)、自己保存することです。これには遺伝プログラムを持つDNAが重要な働きをしています。

第 3 は、生命を維持するために代謝(物質交換、摂りいれた物質の分解と合成)を行い、変化していることです。

第 4 は、細胞内もしくは細胞どうしで情報交換をして、体の状態を一定(ホメオスタシス)に保っていることです。

第 5 は、生物が時とともに進化することです。自己複製の過程で様々な要因に適合しながら変化することで、それによって何百万種といわれる多種多様な生物が生まれることになったのです。

第 6は、生物は必ず死ぬということです。

 

生命の起源―自然発生説―

生命の起源―自然発生説―

生命の起源に関しては、19世紀に入るまで、「生物は親なしで無生物(物質)から一挙に生まれることがある」という自然発生説が主流でした。

この説を最初に唱えたのが紀元前4世紀ころのアリストテレス。さまざまな生物をじっくりと観察した結果、生物の中には親の身体からではなく物質から一挙に生まれるものがあると判断し、『動物誌』や『動物発生論』において多数の動物を自然発生するものとして記述しました。たとえば、ミツバチやホタルは草の露からも生まれ、ウナギ、エビ、タコ、イカなどは海底の泥から生まれると考えていたのです。

自然発生説への反論

自然発生説への反論

フランチェスコ・レディ 昆虫の世代についての実験

アリストテレスが自然発生説を唱えてから2000年もの間、その説を否定するものはいませんでした。その説に最初に異を唱えたのが、フランチェスコ・レディ。1668年に発表した「Esperienze Intorno alla Generatione degl’Insetti(昆虫の世代についての実験)を発表しました。

それまでの自然発生説では、肉を腐敗させるとそこから自然に蛆がわくとされていました。
その反証となる実験を行ったのがレディです。
具体的には、6つの瓶を用意し、3つずつ2グループに分けました。
その1つめの瓶には未知の物体を、2つめの瓶には魚の死骸を、3つ目の瓶には生の子牛肉の塊を入れました。
そして、1つのグループは瓶の口に目の細かいガーゼをつけて空気しか出入りできないようにし、もういっぽうのグループは瓶の口になにもつけずそのままにしておいたのです。
すると、数日後なにもつけなかったグループにだけ蛆がわいたのです。

そして、その後、蛆を捕らえて変態する過程を待つ実験を行ったところ、蛆がハエになったのです。つまり、なにもつけなかったグループには自由にハエが出入りできたから蛆がわいたのではないかと思われたのです。

さらに死んだ蛆やハエを動物の死体や生肉と一緒にガーゼをかけた瓶に入れておいた場合にも蛆はわきませんでした。

 

ラッザロ・スパッランツァーニ 有機物溶液中の加熱及び密閉

フランチェスコ・レディによってハエのような動物が自然発生しないことは証明されましたが、当時はまだ微生物が自然発生しないということは証明されていませんでした。

それを証明したのが、ラッザロ・スパッランツァーニ。彼が行った実験というのは実に単純です。ラッザロは微生物は空中から運搬され、有機物溶液中に侵入するという考えのもと、有機物溶液を加熱したあと、外気に触れさせないようにすることで微生物が発生しないということを証明しました。

具体的には、フラスコ内の有機物溶液を加熱したあと、金属でフラスコの口を溶接密閉しました。すると長期間保存しても微生物は発生しませんでした。

ところが、フラスコの壁面に微小な亀裂ができると微生物が発生したのです。

つまり、外気に触れない限り完全密閉状態で有機溶液中に微生物が発生することはなく、微生物の発生のもととなるものが外から入ってきたから微生物が発生したということです。

ルイ・パスツール 自然発生説の検討

ルイ・パスツール 自然発生説の検討

さらに、1861年ルイ・パスツールが『自然発生説の検討』で、「微生物は、親なしに自然には発生しないこと」を証明し、自然発生説が完全に否定されることになりました。

具体的にはフラスコの首を2回曲げたもの(白鳥の首フラスコ)を用いました。つまり、微生物が外から入ろうとしても下方に湾曲した部分にトラップされてフラスコ内には入らない状況を作ったわけです。
そのフラスコに有機物溶液を加熱し滅菌します。その状態で放置しても微生物は増殖しませんでした。ところが、このフラスコの首を折るか、もしくは無菌の有機溶液を微生物をトラップさせた首の部分に浸し、それをフラスコ内に戻すと微生物の増殖がみられたのです。

生命の起源―液滴(コアセルベート)―

生命の起源―液滴(コアセルベート)―

では、自然発生説が完全に否定されたのち、生命の起源はどのように考えられるようになったのでしょうか。

現在では、1924年、ロシアの生化学者アレクサンドル・オパーリンの発表した説が広く支持されています。原始の地球で、大気中の成分から合成された非生物的な有機物がいくつも集まり、海中で「液滴」と呼ばれる形態になります。この液滴は、膜はないものの、袋状の構造をもっており、これが生命を得て細胞になったというものです。

しかし、液滴がどのような成長・分裂・増殖の過程を経て細胞になったのかを説明できるものはいませんでした。化学物質を集めて生命を育むには、脂肪酸の膜が必要不可欠で、膜のない液滴から細胞は発生しないという「膜なくして進化なし」説を支持し、オバーリンの理論に異議を唱える科学者もいたのです。

ところが、2016年12月にドイツのマックス・プランク複雑系物理学研究所と同分子細胞生物学・遺伝学研究所のデヴィッド・ツヴィカーと共同研究者がネイチャー・フィジクスにその議論に終止符をうつかのような論文を発表しました。

液滴が細胞の大きさまで成長したあと、まるで細胞のように分裂する傾向があったというのです。

膜のない液滴が自発的に分裂するなら、非生物的な有機物の濃縮されたスープから、生命が自然に発生した可能性は高まるということです。

まとめ

生命の起源についてまとめてみました。

未だ完全に結論が出ているわけではなく、最有力と考えられている液滴に関しても、それを支持する実験がなされたのがごく最近であり、ようやく解明へ向けての一歩が踏み出された状況です。

ただ、現状は、液滴でみられる分裂は、現在の細胞分裂でみられる多段階で複雑な過程とはかけ離れており、生命の起源との関係はわからないという反論もみられています。

今後、単純な分裂をする液滴がアメーバやその他の動物に進化した可能性を示唆するものが出てくるのか、それとも新たな生命の起源説が出てくるのか、これからの発見に注目していきたいと思います。

木ノ本景子
研修医期間終了後、神経内科医として主に急性期病院にて13年間勤務。
3年間の回復期病棟での勤務を経て、平成24年より在宅医療に従事している。

多くの患者さんにかかわる中で、より健康であるためには、病気にだけフォーカスをあてるのでは不十分なのではないかと実感し、医療の分野以外にも学んでいる。

高齢になっても若々しく元気な方たちの特徴から、自分らしく生きることが重要性を感じ、そのためのツールとして脳と心についての情報をフェイスブックページやホームページを通じて発信している。

一悟術リーディング3級、日本内科学会 内科認定医、日本神経学会 神経内科専門医、医学博士、日本臨床栄養協会 サプリメントアドバイザー、感情カウンセラー協会認定 感情カウンセラー、リズ・ブルボーのからだの声を聞きなさいスクール カウンセラーコース終了、NLPプラクティショナー、著書に『脳の取扱説明書』(みらいパブリッシング)

HP:http://www.harmonista.org/
HP:https://harmonista.jp/

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