世の中には色んな人がいます。
皮肉屋さん、心配性、批判的・否定的な人、斜に構えるクセ、何事もネガティブな方から考える。
たいていの人は楽観的と悲観的なときを行ったり来たりするものですが、極端に悲観的な人もいるものです。
愚痴ばかりこぼす人。
「どうせ私なんて…」が口癖の人。
不安や心配ばかりしている人。
そんな人と話していると、イライラしたり気力が萎えたりします。
自分の心配だけならまだしも、こちらの心配までし始めるともっと厄介です。
相手は善意で、「あなたのことを思って言ってるのよ」なんて言うかもしれません。
気づいたら相手の話しに巻き込まれて、がっくり疲れちゃった…なんてこともあるでしょう。
頻繁に会う人でなければやり過ごすこともできますが、
身近な友人や同僚、または親やパートナーだったりするとちょっとキツいかも…。
今回は、そんな悩みを抱える人に向けた記事。
困った状況から抜け出してかつ自分の器を広げることもできる、「ひと粒で二度美味しい」根本解決の方法をご紹介します。
あっ、その前にひとつ。
この方法は効果的ですが途中で抵抗を感じるかもしれません。セルフイメージが揺さぶられる可能性があるからです。
それを念頭に置いて、どうぞおつきあいください。
ステップ1.悲観的な人や言動に影響を受けていることを認める
まず最初は、自分が影響を受けているのを認めるところからスタートです。
私自身、若い頃は泣き言ばかり言う人や「自分なんて…」と自己卑下する人が苦手でした。
聞いてるうちにイライラしたり、なんとか相手の気持ちを上向きにしようと話しこむうちに、八方塞がりな気分に陥ってゲンナリしてしまうことがあったからです。
でもそんな時でも、「この相手から影響を受けてる」とは思っていませんでした。
今思えば明らかに反応したり、影響されているのですが、「相手が悪い」くらいに思っていました(笑)
無意識に「自分はこの相手に影響を受けるほど弱くない」と思いたかったのかもしれません。
ともかく、まずは冷静になって自分を客観視し、反応が出ているんだから何かしら影響受けているんだな、と認めます。
ステップ2.なぜ影響を受けているのかを探る
悲観的な人や言動にイライラやゲンナリなどの反応が起きていること、つまり何らかの影響を受けていることが認められたら、次はなぜそんな反応が湧いてくるのかを探ります。
ここではできるだけ自分に正直になることがカギです。
正直に見つめてみると、
悲観的な人が「…できない」や「自分なんて価値がない…」と話すのを聞いて反応するのは、
「自分はそうはならないように…」と頑張っていたり、
「自分もそうなるかもしれない」とどこかで不安を感じているからかも…、
と気づきます。
無意識に無力感を感じている自分を刺激されたくない、というわけです。
人間、ふだん意識しないようにしていることを何らかの形で刺激されると、イライラしたり、その人を批判したくなったり、変えたくなったりするものです。
このとき、私が
”普段は意識していないけれど心の深いところで自分について信じていること” は、
「自分は〇〇さんの『…できない』という言動に影響を受けてしまう、か弱い存在だ」または
「影響を受けずに対処するだけの力がない」
ということだったりします。
人によっては、このような自分についての認識は、セルフイメージが傷つく受け入れがたいものかもしれません。
自分のことを「か弱い存在だ」などと認めるなんて、たいてい大きな抵抗が出るのですが、注意しておきたいことがあります。
ここで見逃さないでほしいポイントは、
この自分についての「力不足・無力さ」の信念は、自分が無意識にそう信じ込んでしまっただけであって、真実ではない。ただのカン違いだ。
ということです。
本来は、か弱くもないし、対処する力がないわけでもないのに、幼少時の出来事か、物心ついた後に教わったことか、理由はともかく「自分は力不足だ」と勘違いしてしまったというわけです。
このステップでは、
なぜ影響を受けているかというと「自分のことを無力だとカン違いしているからだ」と認めます。
ステップ3.「悲観的な人や言動を許容する」と意図する
「自分は力不足だ」というカン違いをしていることが認められたら、次のステップは「訂正」です。
「悲観的な言動に影響を受けてしまうか弱い存在だ」というカン違いを訂正し、
「悲観的な言動に影響を受けない力強い存在だ」という本来の自分を思い出します。
「思い出す」といっても記憶をたどるのではなく、
「訂正する」といってもアファメーションや思い込みで無理やり書き換えるのでもありません。
ここではまず、悲観的な人や言動を許容する意図を持って、「〇〇さんが悲観的な言動をしてもかまわない」と口に出して宣言することから始めます。
この最初の段階では、宣言すると嫌な気分が湧いてきたり、「かまわないわけない!」と反発心が湧きますが、それでかまいません。
自分はまだ、「それに対処できない」とカン違いしているのだから、それを受け入れられないのは自然なことです。
時にはひどく気分が悪くなったり、身体がこわばる場合もあるでしょう。
そんなときは、深呼吸をして水を飲んだり、身体をほぐしながら無理せず進めましょう。
言葉を口にして湧いてくる思いや感情を無視せず受け入れて、例えば「あぁ、自分は〇〇さんが悲観的な言動をするのがこんなにも嫌なんだなぁ」、「自分も自信ないなか必死でやってるんだからガンバってよっ(怒)」、「自分もホントは自信がないのに気づくのが怖いんだな…」等、正直になって認めます。
このステップでは、
許容することを意図して「悲観的な言動をしてもかまわない」と口に出しながら、許容したくない自分の思いや感情を浮かび上がらせます。
ステップ4.湧いてくる思いや感情を感じ続ける
悲観的な言動を許容しようとして湧いてくる思いや感情を認めて受け入れられたら、そのうちのひとつを取り上げて、感じ続けましょう。
許容しようとして「イライラ」や「悲しみ」が湧いてきたのであれば、例えば、まずはイライラを取り上げて感じ続けます。
そうは言っても、「イライラを感じるなんて嫌だよ」という声が聞こえてきそうです(微)
たしかに最初は気持ちのいいものではありませんし、感じ続けているとどんどんヒートアップして爆発しそうな気がするかもしれません。
ただ大抵の場合、一旦ヒートアップしてもさらに感じ続けていると落ち着いてくるものです。
湧き上がる気持ちがある程度落ち着くまで、感じ続けます。
このステップも無理は禁物です。
できる範囲でやるか、大変そうな場合は「今は時期でない」と一旦脇においておくか、またはプロのカウンセラーを頼りましょう。
ある程度落ち着いたらもう一度、「〇〇さんが悲観的な言動をしてもかまわない」と口に出して言ってみます。
このときステップ3で最初に宣言したときと較べると、湧いてくる思いや感情の、種類や度合いが変わっているのが感じられるでしょう。
ステップ5.再度、悲観的な人や言動を許容する。そして湧いてくる感情を感じきる
ステップ4の最後で、再度「〇〇さんが悲観的な言動をしてもかまわない」と宣言しました。
このとき、はじめに口にしたときとは違う感覚が得られたでしょう。
この変化を確認したあと、もう一度許容を意図して同じように声に出して言ってみます。
そしてまた同様に、湧いてくる思いや感情をひとつ取り上げ、ある程度落ち着いてくるまで感じ続けます。
このようにステップ3と4を何度か繰り返します。
すると、最終的には「悲観的言動をしてもかまわない」と声に出したときに、とくに抑えていないのに穏やかな反応しか湧き上がらなくなってきます。
そのような状態になるまで、ステップ3と4を続けます。
このステップは、場合によっては時間がかかったり、一人で行うには難しい場合があります。
ひとりでやる場合には、はまりこみ過ぎないようにし、気分転換したり、しばらくは放っておいたり、気楽に気長にやることを心がけましょう。
ステップ6.「悲観的な人や言動から影響を受けることのない存在だ」と確認する
ステップ5まで進むと、悲観的な人や言動から影響を受ける感覚が弱まっています。
ここまでくればもう少し。
「わたしは悲観的な人や言動に影響を受けることのない力強い存在だ」と訂正を完了するタイミングです。
「わたしは悲観的な人や言動に影響を受けることのない力強い存在だ」と声に出して、顕在意識で確認することで訂正が完了します。
この段階では、悲観的な人や言動に出会ってもネガティブな影響はなくなるでしょう。
(そして、本当の意味で相談にのってあげられるのもここからでしょう)
このようなプロセスを経て、当初無意識だった自分についての間違った思い込み、すなわち
「悲観的な言動に影響を受けてしまうか弱い存在だ」というカン違いを訂正し、「人や言動に影響を受けない力強い存在だ」という本来の状態を思い出すことができます。
そうすると不思議なもので、そういう言動をする人が周囲からいなくなっていく。
実際目の前にいたとしても気にならないからどうでもよくなります。
この変化は面白いもので、人生の皮肉なところであり、メカニズムにも興味が湧きます。
「何かが気になるうちはその現象と遭遇し続けるが、気にならなくなった分だけ遭遇しなくなってくる。」
パラドックスですね(笑)。
そのうち意識と現実化の関係を記事にまとめたいものです。
まとめ
さて、いかがでしたか?
今回ご紹介した手順は、対症療法ではなく根本的な解決法です。
そのため、大変に感じられたかもしれません。
実際にこのステップは、感じたくない「力不足」を見つめたり、セルフイメージを変える作業を伴うので大変な面はあります。
湧いてくる感情は、ときに面倒くさいし辛くもあるでしょう。
わたしたちは大抵、未処理の感情や、常識・教育からくる思い込み、インナーチャイルド・バーストラウマ、等、様々な影響を受けているので、ひとりで取り組むのが困難な場合もあります。
そういうときはプロの手を借りつつ、じっくりと腰を据えて進めましょう。
ひとつひとつクリアにしていく中で、いつしか影響を受けなくなっている自分に気づく時が来ます。
カン違いに基づく「無力感」を手放して、すでに備わっている「本来の自分の力」を思い出すことは、「己の器を広げる」作業そのものであり、
それは自分にとっても、ひいては相手にとっても自己変容の素晴らしい機会になるでしょう。
そう考えると、この場合悲観的な言動や人は「本来の自分」を思い出すきっかけを与えてくれているのかもしれません。
このようにして心は穏やかになり、楽しいことが増えてきます。
そのうち人生は「厄介ごとの連続」から「楽しみの連続」へと変わっていくでしょう。
これぞ自己変革の醍醐味です。
今回は、悲観的な人を許容することを通じて自分の器を広げていくステップを見てきました。
お役に立てたら幸いです。
あなたの人生が「楽しみの連続」へと変化していきますように。