「コミュニケーションがうまく取れない」と感じている方へ

「話すのが苦手で、誰かと一緒にいると疲れてしまう」、「会話の中で、何を言えばいいのか分からなくて頭が真っ白になる」、そんなふうに感じたことはないでしょうか。世の中では「コミュニケーション能力が高い人」が評価される傾向にありますが、誰もが同じように話せるわけではありません。

今回は、そんな「人との関わりが苦手」と感じている方向けの内容になります。あなたがどんな場面で、どんな気持ちで人と接しているのか、その戸惑いや不安を少しでも軽くするためのヒントをお伝えできればと思います。

もしかすると、「苦手を克服しなきゃ」、「もっと上手く話せるようにならなきゃ」と、自分を責めてきた方もいるかもしれません。しかし、本当に必要なのは、「自分の感じ方や考え方に、寄り添う視点」ではないでしょうか。

人と話すのが苦手でも、自分らしく生きていける方法はあります。大切なのは、自分を否定することなく、「そのままの自分」と向き合うこと。それが、新しい人間関係の築き方へとつながっていきます。今回の内容を通して、あなたの心を少しでもほぐすきっかけとなれば幸いです。

この記事の目次

1、コミュニケーションが苦手な人の特徴

まずは、コミュニケーションが苦手な人に見られる特徴を紹介します。自分自身の日常や行動と照らし合わせてみてください。

1)自分の話ばかりしていませんか。

人の話を聞かずに、自分の話ばかりしてしまうことはありませんか。多くの場合、相手は、「話を聞いて欲しい」と思って話しかけてきます。しかし、自分の話にすり替えたり話を遮ったりするようなことが多いと、「この人に話しかけても仕方がない」と思われてしまうかもしれません。

例えば、相手が高校時代の元彼の話をしている途中に、「私の元彼も最悪でさ…」と遮り、自分の恋愛話を延々と始めるケースです。相手の立場からすれば、話の途中で遮られるとストレスを感じ、話す気を失ってしまいます。

2)人と視線を合わせるのが苦手ではありませんか。

コミュニケーションに苦手意識がある人は、相手と視線を合わせるのを避けたり、目が泳いだりすることがあります。

言葉のやりとりだけでなく、「アイコンタクト」も重要なコミュニケーション手段のひとつです。アイコンタクトが苦手な人は、良い人間関係を築くまでに時間がかかるかもしれません。

3)友人関係が少なく、家に引きこもりがちですか。

人と接することに疲れ、家にこもりがちになる人もいます。

自分の世界に引きこもる間は精神的に楽かもしれませんが、長期的にこもることでコミュニケーションに対する苦手意識が強くなってしまう可能性があります。

4)自分から話しかけることが辛くないですか。

友人や知人に対して、自分から話しかけることが辛い、苦手だと感じている人も多いでしょう。「話しかけて嫌われたらどうしよう」、「変な人と思われたらどうしよう」という不安や恐怖心が背景にあることが少なくありません。

5)プライドが高く、傷つくのが怖いと感じますか。

プライドが高い人は、自分の発言が否定されたり指摘されたりすることで、精神的に傷つくことを恐れます。

過去にプライドを傷つけられた経験があると、無意識に人とのコミュニケーションを避けようとすることもあります。また、傷つかないために相手よりも優位に立とうとする言動をとることもあります。

〈コミュニケーションが苦手になる原因は?〉幼少期や青年期を振り返ると、無口な人も話好きな人もいます。得意不得意があって当然です。しかし、苦手意識がある人の中には、子供の頃にコミュニケーションで失敗し、恥をかいたりトラブルになった経験がトラウマになっている場合があります。技術的なコミュニケーションスキルを磨くことも大切ですが、心の傷を癒すアプローチも有効かもしれません。

2、コミュニケーションが苦手な人が覚えておきたい対処法

苦手なコミュニケーションをどうしても取らなければならない時に、ぜひ試してほしい対処法を紹介します。

コミュニケーションのレベルアップを目指している人にとっても、スキルアップのヒントとなるでしょう。

1)相手の話を、“じっくり”と聞く

相手から話しかけられたら、まずは“じっくり”と聴くことを意識しましょう。

コミュニケーション能力の高い人は、「聞き上手」といわれるほど、相手の話をよく聞いています。あくまでも目安になりますが、会話の理想的な割合は「相手7割:自分3割」と言われています。

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2)相手の話に共感する

聞き上手になるためには、共感を意識することが大切です。

「それは違う!」と否定したくなる場面もあるかもしれませんが、横に置いておいて、まずは相手の話をそのまま聞き続けて、相手の気持ちを受け止めましょう。

例えば、「酷いよね…」と言われた時、「そうかな…?」と返答するのではなく、「酷い目にあったんだね」と否定も肯定もせずに、感情に寄り添うような返答をするようなイメージです。

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3)会話はコミュニケーションであるという意識をもつ

会話のコミュニケーションは、言葉のキャッチボールです。

「はい」、「いいえ」で終わる質問ではなく、「その後どうしたの?」、「大丈夫だった?」等々、相手が続きの話をできるような言葉を選んで応答してみましょう。

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3、コミュニケーションが苦手な人ほど注意したいこと

無意識にやってしまいがちなコミュニケーションのNG行動を紹介します。

気がついたら意識して改善してみてください。

1)話の腰を折る、遮る

相手の話が終わる前に口を挟むと相手は不快に感じます。

否定的に話を遮ったり、一方的に決めつけることは、相手の感情を逆撫でし、関係に亀裂を生じかねません。苛立ちを感じても、まずは最後まで話を聞くことに集中しましょう。

2)上の空で話を聞く

興味のない話でも、心ここに在らずの状態で聞くと相手に伝わります。

質問されても返答できる程度に、相手の話のポイントはつかむようにしてみましょう。

3)すぐ自分の話にもっていく

相手の話を聞いて自分の話をしたくなる気持ちもわかりますが、相手の話が終わっていないうちに自分の話をはじめるのはやめましょう。

まずは、とにかく話が終わる最後まで聞くようにしましょう。すると、相手の満足度も増して、返答もしやすくなります。

4)自分だけ一方的に話し続ける

一方的に話し過ぎると、その場の空気が悪くなることがあります。

自分が話しすぎていないか、相手の反応を見ながら会話することを心がけましょう。

4、苦手なコミュニケーションを無理なく乗り越えるポイント

コミュニケーションが苦手だと感じる時、多くの人は「自分はダメだ」と思い込んでしまいがちです。しかし、苦手意識を無理に克服しようとすると、焦りなどでかえってストレスが溜まってしまいます。

ここでは、無理せずゆっくり自分のペースで進めるためのポイントをお伝えします。

1)「完璧じゃなくていい」と自分に許可を出す

コミュニケーションは、「完璧なやり取り」ではなく、「お互いの気持ちを伝え合うこと」が大切です。たとえ失敗したとしても、相手に対して誠実な気持ちがあれば伝わります。だから、「話し方がうまくない」、「言葉に詰まる」と感じても、自分を責めずに、ゆっくりと「自身の言葉を伝えている自分」を大事にする感じで、コミュニケーションを続けてみるとよいでしょう。

2)少しずつでも「話す場数」を踏む

苦手を克服する近道は経験を積むことですが、いきなり大勢の前で話そうとする必要はありません。まずは、身近な家族や親しい友人など、比較的話しやすい、安心できる人と少しずつ会話の練習をしましょう。

例えば、買い物先で店員さんに「ありがとう」と伝えるだけでも十分なステップです。

3)自分が話しやすいテーマを持つ

話題に困った時は、自分が興味を持っていることや好きなことを話題にするとよいでしょう。「好きな映画」、「趣味の話」など、自然に話が広がるテーマをいくつか考えておくようにすると安心です。

4)聞き役にまわることも立派なコミュニケーション

話すのが苦手な人は、「自分が話さなければ」と思いがちですが、相手の話を聞くことも大切な役割です。しっかりと聞いて相槌を打つだけでも、相手は、「話しやすい」と感じます。「話すこと=コミュニケーション」ではなく、「聞くこと」もコミュニケーションの一部です。

5、「苦手」を活かして新しい人間関係を作る

苦手を隠そうとせず、むしろ、「苦手だからこそできること」を探してみませんか。例えば、言葉数は少なくても深く話を聞く力や、相手の心を察する繊細さなどは、あなたの強みになることもあります。

1)相手の気持ちに寄り添う力を育てる

人と話すことが苦手な分、観察力や感受性が豊かな場合があります。相手の表情や声のトーンから気持ちを察し、「大丈夫かな?」と気遣う優しさは、誰にでもできることではありません。

2)自分のペースを大切にする人が集まる場を探す

趣味の集まりや学びの場など、自分の趣味に合ったゆるやかなコミュニティに参加してみましょう。似た感覚の人が多いので、無理なく自分らしく過ごせる可能性が高いです。

3)書くことで自分の気持ちを整理する方法もおすすめ

話すことが難しい時は、日記や手帳、メールなどで自分の思いを伝えてみるのもひとつの手です。書くことは自分を理解する助けにもなり、相手との関係を円滑にするきっかけにもなります。

さいごに(あなたのペースを尊重しましょう)

コミュニケーションが苦手だと感じる人にとって、日常はちょっとした緊張の連続かもしれません。

誰かと会話する前には、「うまく話せるだろうか」と不安になり、会話の最中には、「変なことを言っていないかな」と自分を気にして、話したあとも「あれで良かったんだろうか」と振り返って疲れてしまう…そんなふうに、いつも頭と心が動いている方も多いでしょう。

しかし、それはあなたが、「人とちゃんと関わろう」としている証でもあります。人との距離に慎重になるのは、相手を大切に思う気持ちがあるからこそ。そして、自分に正直に生きようとする誠実さがあるからこそ、不器用にも感じてしまうのです。

コミュニケーションは「一方的にできるようになるもの」ではありません。あなたの心と体のペースを大切にしながら、少しずつ関わり方を変えていけばいいのです。

たとえ言葉が少なくても、心のこもった態度や表情、聴く姿勢、ちょっとした気配り。それらがあるだけで、人との関係はゆっくりと深まっていくものです。

人との関わりが得意でなくても、信頼されることはあります。会話が得意でなくても、人を安心させることはできます。あなたが、「話さなきゃ」と無理をするよりも、「どうすれば、相手と心を通わせられるだろう」と考えることの方が、ずっと人間関係を豊かにする力になるのです。

今回は、いくつかの視点や工夫を紹介しました。しかし、それらをすべてやらなくてもいいのです。まずは、何かひとつ、自分が「やってみようかな」と思えることから始めてください。そして、やったあとの自分の心に、ちゃんと耳を傾けてあげてください。

「コミュニケーションが苦手でも、自分らしく人と関われるようになりたい」…そう思う気持ちがあるだけで、あなたの歩みはすでに始まっています。誰かと比べる必要はありません。あなたはあなたのペースで、ゆっくり進んでいいのです。

大切なのは、「うまくやること」ではなく、「自分を大事にしながら生きていくこと」。それを忘れずに、自分らしく、一歩を踏み出していってください。

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この記事を書いた人

1980年11月、千葉県生まれ。

1999年4月、建築設備業(空調設備・給排水衛生設備・修理、保守管理)の会社に入社。在籍中は、現場監督・営業職・社内経理等を担当。専門技術者として経験を積む。

2010年4月、民間の社会教育団体に入所。前職の経験を活かしつつ、”心の働かせ方”について学ぶ。さらに、「心の働かせ方・考え方」に関するセミナーを全国約1,200会場、講師として経験する。同時に、企業向け情報誌の執筆や経営者を対象に心の経営指導にも従事した。

2017年6月、これまでの経験を活かしつつ、多くの方々と共に”心”の勉強をしていく為の場所として「NextStage(ネクストステージ)」を立ち上げる。現在の活動拠点は、神奈川県三浦市、千葉県南房総市、熊本県菊池郡に置いている。また拠点に関わらず、連絡を受ければ全国何処にでも行動する瞬発力をもって、活動展開をしている。

HP:https://nextstage-iida.amebaownd.com

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