一悟術

アダルトチルドレンを生み出したのは「広い意味での」虐待やネグレクト 

「子どもの虐待」と言えば、最近は子どもの死亡事件がニュースで報じられることがあります。

そのショッキングな印象があるため、かえって虐待は「自分には遠くて、関係ないもの」とあくまで他人事として受け止められてしまうこともあるように感じます。

これはアダルトチルドレン(AC)にとっても同じようなことがあります。

子ども時代に本当にひどい状況を過ごしたにも関わらず、「確かに親はキツかった。でも、虐待というほどではない・・・」と、本人が過去の事実をなかなか受け止められないケースが意外とあるのです。

そのため余計に「子ども時代」という過去に捕らわれたまま、「今を生きる本人」が心理的・精神的に身動きが取れなくなってしまうのです。

どうすればよいのか?

『子どもの頃、私は(広い意味での)虐待やネグレクトを受けていた』と捉えることが、心理的に滞った状態を打開したり、自分自身や自分の過去を受け入れる一つのキッカケになるでしょう。

今回は虐待やネグレクトの意味や種類を見直した『「広い意味での」虐待やネグレクト』についてみていきましょう。

1.日本、米国での虐待の分類・定義

(1)日本で主流のもの

日本では厚生労働省(児童虐待防止法)が定めたものが主流となっています。

【分類・定義】(4分類)
身体的虐待
殴る、蹴る、投げ落とす など

性的虐待
子どもへの性的行為、性的行為を見せる など

ネグレクト
家に閉じ込める、食事を与えない、重い病気になっても病院に連れて行かない など

心理的虐待
言葉による脅し、無視、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV) など

(2)米国で主流のもの

アメリカでは保健福祉省が実施する虐待発生調査(NIS)で使用しているものが主流となっています。

【分類・定義】(6分類)
身体的虐待
手で叩く、意図的に落とす、投げる など
性的虐待
性的侵入、性的に露骨な素材を提供 など
心理的虐待
重大な監禁、言葉による攻撃、恐怖に陥れる など

身体的ネグレクト
症状や障害があるにもかかわらず必要なケアの提供拒否 など
情緒的ネグレクト
家庭内暴力、過保護、不適切に高い期待 など
教育ネグレクト
入学あるいは履修をさせない など

*第4回虐待発生調査(NIS-4)での分類

2.自己理解を深めるための新たな定義

(アダルトチルドレン回復研究所が提唱するもの)

(1)「広い意味での」虐待・ネグレクトとは何か

行政機関は法律にのっとった活動や予算の執行を行うために、虐待やネグレクトについても厳密な定義が必要になります。
そのため複雑で分かりにくい感じがします。

そこでアダルトチルドレン回復研究所では、AC当事者が自己理解を深めることを目的に、虐待・ネグレクトに関して「一つの新たな見方・定義」を提唱しています。

あまり厳密ではなくとも、シンプルで分かりやすいことがAC回復には役立つと思われるからです。

ベースとなる考えは子どもに対する関与・境界線です。

子どもに対する接し方をシンプルに「関与」という視点で見ると
・「必要な関与が足りない(介入が足りない)」
・「適度な関与」
・「関与しすぎ(境界線を越えすぎる)
の三つに分けることが出来ます。

そして「関与の過不足」を基準に整理すると、虐待・ネグレクトは下記のようにまとめることができます。

虐待の定義は「子どもの境界線を越え過ぎてしまう」と言うこともできます。
またネグレクトの定義は「世話・配慮など(境界線を越えて)介入すべきことを怠り過ぎてしまう」と言うこともできるでしょう。

同じ事象(虐待・ネグレクト)に対して、複数の視点を持つことはその対象に関する理解を深めることにつながります。

その一つの視点として活かしてもらえれば幸いです。

(2)「広い意味での」虐待・ネグレクトの種類・定義

虐待・ネグレクトの種類と定義は、先程の「関与の過不足」を基準とした定義と米国の虐待調査(NIS-4)をベースに整理しています。

【A】身体的虐待
・身体面での過度な「関与過多」
(守るべき子どもの境界線(身体面)を過度に超えていること)
・子供の身体に対する暴力行為

【B】性的虐待
・性的な面での過度な「関与過多」
(守るべき子どもの境界線(性的な面)を過度に超えていること)
・子供に対する性的な暴力(身体的・心理的)

【C】心理的虐待
・心理面での過度な「関与過多」
(守るべき子どもの境界線(心理面)を過度に超えていること)
・暴言、過干渉、過保護、過度な期待 など

【D】身体的ネグレクト
・身体面で必要とされる関与が過度に不足していること
(世話・配慮など身体面で介入すべきことを怠り過ぎてしまうこと」
・食事を十分に与えない、病気になっても適切な処置をしない など

【E】教育的ネグレクト
・教育面で必要とされる関与が過度に不足していること
(世話・配慮など教育面で介入すべきことを怠り過ぎてしまうこと」
・基本的な読み書きを教えない、教育を受ける機会を支援せず怠る など

【F】情緒的ネグレクト
・情緒面で必要とされる関与が過度に不足していること
(世話・配慮など情緒面でで介入すべきことを怠り過ぎてしまうこと」
・愛情を与えない、関心を示さない、子どもの想い・感情に向き合わない など

3.ACと虐待・ネグレクトの関係

過干渉や過保護、また子供に対する過度の期待も虐待の一つだとすると、アダルトチルドレンは育った家庭において、「広い意味」での虐待やネグレクトがあったと言うことができるでしょう。

そして育った家庭でどの虐待・ネグレクトがあったのか、無かったのかを客観的に捉えることも、ACが自己理解を深めるうえで非常に有効です。

(1)ACを生む家庭状況(6要素)

先程の虐待・ネグレクトの定義・分類を別の視点で整理すると下記のようになります。

そしてACを生み出した家庭状況にはこの六つのいづれか、もしくは複数あったのです。

4.ACを生み出す家庭状況の例

ACを生み出した家庭状況(6要素)から見た、家庭状況の例を見てみましょう。

(1)ネグレクトが主な場合

ネグレクトが主な場合は上記のようになります。
身体的ネグレクトに加え、教育ネグレクトも起こっている状況です。

それぞれの程度によりますが、この状況で大人になった場合、心身の発達が十分でなかったり、知能・知識面が十分でないために、職業の選択が大幅に制限されてしまう可能性があります。

(2)心理的虐待が主な場合

心理虐待が主な場合。
ネグレクトや身体的虐待、性的虐待もないものの心理的虐待のみがあったケースです。

該当するものが一つだけですが、ひどい場合は精神的な疾患になったり、命を落とすケースもあります。

また周りからは恵まれた家庭のように見えても、過干渉、過保護、過度な期待などに子どもが心を痛めているケースもここにあたります。

(3)心理的虐待が主だが、身体的虐待が多少ある場合

心理的虐待に加え、身体的虐待も多少あるケースです。

普段から暴言や小言といった心理的虐待が多いが、まれに身体的虐待にまで及ぶケースです。

まとめ


親からどんなひどい目にあったとしても、親に対する怒りや不満がたくさんあっても、実は親を憎み切れないアダルトチルドレンは多くいます。

親を悪く言うことに罪悪感を感じたり、親をなかなか否定できず「自分がダメだから、親はあんな態度を取ったんだ」と、つい自分を否定してしまうケースも少なくありません。

『子どもの頃、私は(広い意味での)虐待やネグレクトを受けていた』としっかり捉えることが、ずっと押し込めてきた悲しみや怒りを解放し、AC回復の道を進む一つのキッカケとなるのです。

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