一悟術

健康healthという言葉と定義 

2018年は一悟術メールマガジン毎月1日号に「小耳にはさんで欲しい健康の話」というコラムを書いています。
メルマガの第1回、第2回を併せて加筆修正し、内容を膨らませてみました。

健康の語源

健康の語源をネット検索してみました。
中国の易経に健體康心(けんたいこうしん)という言葉があり「すこやかな体、やすらかな心」という意味であるいう記事が数多くありました。
ところが易経にその言葉はないという説もあり、本当のところはわかりませんが、健體康心はどことなく納得感が持てそうな説です。

易経
中国、周代の占いの書。五経の一。
経文と解説書である「十翼」をあわせて一二編。
陰と陽を六つずつ組み合わせた六十四卦(け)によって自然と人生との変化の法則を説く。
「十翼」は、これに儒家的な倫理や宇宙観を加えて解説してある。
古来、伏羲(ふつき)氏が卦を画し、周の文王が卦辞を、周公が爻辞(こうじ)を、孔子が「十翼」をつくったといわれるが根拠はない。周易。易。
三省堂大辞林

 

日本語としての「健康」

波留麻和解に初出

波留麻和解に初出

1796年(寛政8年)に蘭学者の稲村三伯、宇田川玄随、岡田甫節らによって波留麻和解(はるまわげ)が編纂されました。
日本初の和蘭辞典で、この中に「健康」という言葉が初出しています。

この頃の日本は江戸時代で、鎖国をしていました。
外国に向けられた窓口は長崎、対馬、薩摩、蝦夷にあり、長崎の出島ではオランダと中国(清)と貿易をしていて、対オランダ貿易を通して西洋文化が入ってきていていました。
オランダの漢字表記は阿蘭陀または和蘭で、蘭の字を用いて蘭学といわれていました。
蘭学を学ぶためにはオランダ語の辞書が必要なので、辞書が編纂され、その時に西洋のヘルスhealthの概念に「健康」を当てたというわけです。

明治以降に一般化

辞書や医学書に載っているだけの「健康」が、明治になって西洋医学が普及し、「健康」の解釈を当時の文化人が研究したことで一般化されていきました。

有名なところでは、高野長英、緒方洪庵、福沢諭吉。
福沢諭吉が著書「学問のすすめ」の中で「健康」を使っています。
先人たちは西洋から入ってきた健康という概念の確立に苦労したようで、文献調査では解釈の変遷が見られます。

それ以前には、健康に対応する言葉として、丈夫、健やか、強壮、壮健などがありました。
貝原益軒の著書「養生訓」にみられる養生という言葉もありますが、健康とは異なった意味合いだったようです。

参考)北澤一利『「健康」の日本史』(平凡新書、2000年)

 

英語のヘルスhealthの語源

英語のヘルスhealthの語源

healthの語源は古英語のhal(完全な)であると言語研究がされています。

hal(完全な)
→heal(癒す)
→health(健康)と変化し
「まったく欠けたところのない完全な状態」を指していました。

halは、次の言葉の語源でもあり、様々な言葉につながっています。

whole(完全な)
hale(達者な)
hail(万歳)
holy(神聖な)
hallow(神聖にする)
wassail(乾杯)

参考)江藤裕之、healthの語源とその同族語との意味的連鎖-意味的連鎖という視点からの語源研究の有効性-、長野県看護大学紀要4、2002、p95-99

興味深いのは、health(健康)という言葉になる前のheal(癒す)で、これを名詞にするとhealing(ヒーリング)であることです。
健康とヒーリングは言語的には同じ系統にあります。
エネルギー医学の分野ではヒーリングが健康にどのように影響を及ぼすのか、その仕組みなどについて研究されています。
つまり、言語的にも機能的にも両者は切っても切れない関係にあることがわかっています。
ちなみに、ヒーリングする人はヒーラーhealer、ヒーリングされる人はヒーリーhealeeとなります。

 

健康の定義

健康の定義

WHOによる現在の定義

世界保健機関WHOのWHO憲章は1946年に署名され、1948年から効力を発揮しています。
日本では1951年に公布されています。

このWHO憲章の前文に健康の定義が次のように記されています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

1951年(昭和26年)官報掲載の日本語訳は、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」です。

WHOの定義では健康は単に肉体の問題ではないとされています。

 

改正案

WHOでは、1998年に健康の定義については改正案が提出されました。
改正案は次の赤字部分が加えられています。

Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

dynamic(動的)は、健康と疾病は別個のものではなく連続したものであることを意味し、spiritual(霊的)は、人間の尊厳の確保やQuality of Life(生活の質)を考えるために必要な、本質的なものであるという意見から付け加えられました。

提案されたものの、現行のWHO憲章が適切に機能しているため、この改正案は審議入りしておらず採択にも至っていません。

 

健康を評価する指標

WHOで定義されている健康を客観的に評価するのとても難しい問題です。
健康が単に肉体の問題であるなら医学的指標を使えば比較評価は簡単ですが、精神的、社会的にまで健康の枠を広げると個々の主観が大きく影響してきます。

人種、宗教、政治的信念または経済的もしくは社会的条件など個々の背景が異なるからです。
価値観が違えば、物事の捉え方も違います。

メールマガジンでも書きましたが、例えば、次のような場合はどうでしょうか。
戦争や紛争のある所とない所では、ない所の方が健康の程度は高そうですがそれは本当でしょうか。
同じ人でも、気持ちが沈んで仕事がままならないが体は大丈夫な時と、生きがいを感じながら仕事ができたが過労で体を壊した時とではどちらが健康なのでしょうか。
余命宣告された人が日々感謝しながら生きておられるのはどうでしょうか。

これらを網羅できる指標としてQOLという概念が役に立ちそうです。

QOL

QOLの定義

QOLとはQuality Of Life(クオリティ・オブ・ライフ、人生の質、生活の質)の略です。

個人が生活する文化や価値観の中で、目標や期待、基準および関心に関わる自分自身の人生の状況についての認識と定義されています。
QOLも健康と同じように、自分の人生や生活をどう感じているか主観的なものです。

WHOQOL26

WHOが作成した調査票QOL26は、次の4領域24問と全体を問う2問の計26の設問から成ります。

  • 身体的領域
  • 心理的領域
  • 社会的関係
  • 環境領域
  • 全体

設問に対して自分の状態を五段階評価でチェックできるように工夫されていて、QOLが簡単に測定(数値化)できます。

WHOの定義する健康とはQOLが高い状態と考えられるので、この数値で客観的に評価できるのではないでしょうか。

参考)WHOQOL26手引改訂版 田崎美弥子・中根允文著(2013年、金子書房)

まとめ

日本では鎖国時代に健康という概念が蘭学を通して入ってきました。
現在、健康の定義はWHO憲章の前文にあるものが知られています。
健康かどうかは主観的なものであり、客観的評価が難しいものですが、QOLを測ることで評価ができそうです。

 

柴田ともみ

一悟術ヒーリング1級
一般社団法人感情カウンセラー協会認定感情カウンセラー
薬剤師

大学卒業後、製薬会社の学術部で社員教育と医療関係者への情報提供に携わり、その後、整形外科病院で薬剤師として勤務、退職。
現在は一悟術ヒーラーとして活動中。

昭和39年生まれ、一男二女の母。
第一子のアトピーをきっかけに桶谷式母乳育児、栄養学、食育を学ぶ。
第三子の妊娠・出産・育児期は夫婦関係や健康にトラブルが続き心身共につらい日々が続いたので、心と体の回復を目指して漢方と心理学を学んだ。

その学びを深めていく中で一悟術と出会い、バーストラウマやインナーチャイルドなどの心の問題に向き合うことで状況を克服。
今では笑顔を取り戻し、日々軽やかに過ごしている。

セッションでは、生きづらさを感じている方の心が軽くなり、日常の幸せに気づき、自分らしさを取り戻していただけるように心掛けている。

HP:https://asakochi.jp/
BLOG:https://ameblo.jp/tomomin358

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