私たちの住む地球が属する太陽系。
この太陽系はどのようにして生まれたのでしょうか。
この謎に迫るには、太陽という恒星がどのようにして生まれたのかを探る必要があります。
恒星とは
恒星は、自ら光を発し、輝く星です。
恒星の主成分はガスで、その中心部で核融合反応が起き、そのエネルギーで光り輝いています。
地球から一番近い恒星は、言わずと知れた太陽。
太陽系唯一の恒星です。
木星や土星も光輝いて見えますが、これらは太陽の光を反射しているだけです。
恒星が輝く理由
ガス体の天体は、自らの質量による重力で常に押しつぶされようとしています。
その重力に対抗するために内部が高温・高圧にならなければいけません。
いっぽう、宇宙の温度はというとたったの3K(ケルビン)。
つまり、-270.15℃とかなりの低温です。
したがって、必然的に高い温度である恒星からあらゆる方向にエネルギーが流れ出ることになります。
これが恒星が輝く理由です。
恒星のエネルギー源
当然、そのためにはエネルギーを供給する必要があります。
生まれてすぐの恒星では、水素とヘリウムから構成されています。
そして、そのエネルギー源は自分自身の収縮です。
自分自身が縮まる、つまり、一つ一つの分子が中心部に落ち込むことによって、分子同士が激しく衝突し熱を発生することで、光り輝いています。
恒星が光り輝くようになってから1000万年ほどたつと、中心部の温度は1000万Kを超えるようになります。
そうすると、水素の原子核が核融合反応によってヘリウムの原子核にかわります。
そして、恒星はこの核融合反応をエネルギー源として光り輝くようになり、一生のほとんどをその状態で過ごします。
ただ、重い恒星では、一生の終わりに近づくと核融合の元素を水素からヘリウムへと変えます。
そのあとは順次原子番号の大きな元素を使うようになり、その過程で収縮と膨張を繰り返します。
ちなみに、太陽ほどの質量の恒星では(中心温度が上昇しないため)酸素や窒素の段階で反応は停止します。
恒星の寿命
恒星の寿命とその後のふるまいは、その質量で決まります。
おおまかにいって,恒星の寿命は質量の3-4乗に反比例します。
というのも、質量の大きな星では中心温度が高くなり、核融合反応がさかんに行われます。
そのため、短時間で燃料を消費してしまうのです。
恒星誕生のもと宇宙塵
恒星と恒星の間の宇宙空間には、星間ガスや宇宙塵(星間塵)とよばれるガスやチリが非常に薄くまばらに存在しています。
これらのガスやチリが特に濃く集まったものを星間雲とよびます。
そのような空間は背後の星の光をさえぎるため,地球から見ると暗い空間となります。
恒星はこれらの星間雲から生まれるのです。
つまり、星間雲の元となる宇宙塵は恒星を生み出すのに欠かせないわけです。
そして、その宇宙塵は宇宙誕生から数億年後の銀河には既に存在しており、その頃の銀河は宇宙塵に覆われていたといわれています。
水素などのガスしかない状態の宇宙からどのようにして宇宙塵ができたのか、その宇宙塵を生み出す要因として注目を浴びているのが超新星です。
超新星
超新星とは、大質量の恒星がその一生を終えるときに起こす大規模な爆発現象です。宇宙塵は、その超新星が爆発するときにホウ素、炭素、窒素、酸素、珪素、鉄などといった重い元素が作られ、それが宇宙空間にまき散らされたのです。
ちなみに、ビックバンで作られる元素は水素やヘリウムなどの軽いものです。星の中心では鉄までが核融合で作られ、鉄より重いウランまでの元素は超新星爆発で作られます。
超新星の存在は、すでに2世紀の中国にその記載がありますが、その実態が知られるようになったのは19世紀後半になってからです。ほとんどの天文学者が宇宙塵を生み出す要因として超新星を疑っていたにもかかわらず、技術力の不足からその決定的な証拠がつかめずにいました。
ところが、2003年にNASAがデルタロケットにより打ち上げた赤外線宇宙望遠鏡スピッツァ―の登場でようやく観測が可能になり、初期宇宙における宇宙塵の謎の解明へ大きく前進したのです。
太陽誕生
恒星の一つである太陽も、超新星の爆発により生じた宇宙塵が集まってできた星間雲から生まれました。
太陽の誕生は、今から約46億年前。
宇宙誕生のきっかけとなるビックバンが起きたのが約138億年前ですから、宇宙誕生から約92億年後ということになります。
このときに太陽の数倍の質量を持った巨大な恒星が死を迎えたことから始まります。
その恒星の最後に超新星爆発を引き起こし、太陽などを構成する物質(ガスやチリ)を周囲にまき散らしたのです。
爆発は、衝撃波となって周辺の空間へと伝わり、周囲にあった星間物質の密度にゆらぎが生じました。
このようにしてできた密度のムラですが、ガスとチリが吹き寄せられ密度が増加した部分では、自分の重力を支えきれなくなり収縮し始め、より密度の高い星間雲となりました。
この密度が濃い部分を中心に、星間雲はさらに自分の重力で収縮し、縮んでいきます。
このときガスは回転しています。
お風呂の栓を抜いたときに、渦を巻いて吸い込まれていくようなイメージです。
巻き込まれていくガスの中にもやはり密度が濃い分部分があり、これらはまた別により集まっていきました。
そうした中、太陽の重力に対抗できる質量を備えたものは、太陽に引き込まれることもなく、かといって重力から飛び出すことも出来ずに、ぐるぐると周りを回り始めます。
このようにして、だんだんと平たい円盤のようになっていきます。
そして最後には、中心にいちばん重い塊ができ、周りに薄いガスとチリの円盤ができます。
これを原始太陽系星雲と呼びます。
原始太陽系の大きさは直径10,000AU程度と見積もられています。
注)AU (astronomical unit):天文単位 1天文単位=149,597,870,700メートル
原始太陽と微惑星
原始太陽系星雲はその中心に向かって加速度的に収縮を速め、物質の大半は中心に集まります。
典型的な星間ガスの密度は1cm3あたり水素原子はたったの1個。
それが密度の高い星間雲になると1cm3あたり10万個~100万個の水素原子を含むというから驚きです。
原始太陽系星雲の中心部はその巨大な重力で圧縮され、内部は高温・高圧の状態になり、やがては原始太陽と呼ばれる状態にまで成長します。
そして、臨界点(中心部の温度が100万度)に達すると核融合が始まり、明るく輝き始めるのです。
ちなみに、原始太陽というのは、原始星の段階にあった太陽のことです。
原始星は、星間雲(分子雲)が重力によって分裂・収縮してできた、生まれたばかりの、まだ核融合反応が行われていない段階の星のことです。
原始星の周囲に塵やガスを伴い、高い光度をもち、活発な活動を行っています。
中心部に行かずに周りに残された円盤の中では、星間物質の密度がある値を超えると、重力によってガスとチリがくっつき、直径10kmほどの小さな塊が無数に生まれます。
これを微惑星と呼びます。
微惑星の平均的な直径は10km,質量は1兆トン,太陽系全体で10兆個ほどの微惑星が形成されました。微惑星は原始惑星となり、一つの軌道に一つの惑星が生き残り、今の姿となってきます。
現在とこれからの太陽
太陽は今なお成長を続けており、45億年前に比べて3割ほど明るさを増しているとされています。
太陽の寿命は100億年ほどであり,今のような状態はあと60億年ほど続くといわれています。
それが終わり今までに取り込んだ中心部の水素をほぼ使い果たすと,そのエネルギー生産活動の主体を中心部から周りに移行します。
核融合を起こすことができなくなった中心部は重力で収縮するいっぽうで、逆に今まで強力な中心部の重力に引き込まれていた周りの部分は開放され、巨大化し赤色巨星となります。
このときの太陽は金星の軌道くらいまで大きくなると考えられています。
ところが、この時期になると収縮を続けていた中心部がさらに温度を上げ、3億度ほどになります。
その結果、水素核融合の産物であるヘリウムが燃え出し、それと共に重力が復活し、いったんは170倍もの大きさになった太陽も、15倍前後まで縮小します。
水素の次のエネルギー材料となったこのヘリウムも1億年ほどで使い果たしてしまうと、いよいよ太陽には燃やす材料が尽きてしまいます。
巨大になりすぎた太陽は、そのガスが中心から遠いため、重力が届かずガスが離れだし、次第に小さくなっていきます。
地球の直径の約110倍もあった太陽は、収縮を続けて地球とさほど変わらなくなり、燃え尽きてしまったために、新たな融合活動は行われず、エネルギーが生産される事はありません。
あとは、ゆっくりと時間をかけて冷え切っていくだけです。
これが太陽の最後、ということになります。
まとめ
地球誕生のルーツとなる太陽の誕生についてまとめてみました。地球は、太陽からの距離が熱量的にも物質的にもちょうどよい位置にあり、今よりも太陽から遠くても近くても生命がすむには厳しかっただろうとされています。
その観点から地球は幸運が詰まった星といわれています。太陽は今現在も私たちにいろいろな恩恵を与えてくれています。太陽について知ることが今ここに存在することの奇跡に触れることにつながるかもしれません。